Creator Interview【WEBディレクター編】:“想い”を翻訳して、よりよい“サイト”をつくる

   

話してくれた人:
STSデジタル・ディレクター 東田
2024年7月に入社。記事制作やWEBサイト制作等における進行管理をメインで担当している。

聞き手:STSデジタル・ライター ウメザワマサユキ

目次

曖昧なオーダーに“かたち”を与える仕事

―― 今回は、直近の実績である採用サイト制作の案件を例に、WEBサイトの制作プロセスについて伺いたいと思います。まず、今回の案件概要を教えてください。

福祉関係の仕事をされている企業様でした。先方からは「福祉の仕事は大変、きつい、給料が低いといったネガティブなイメージを持たれがちなので、それを払拭するような『いいイメージ』が湧くサイトを作りたい」というご相談をいただいたのが始まりです。

―― 「いいイメージ」というのは非常に抽象的ですよね。明るい、温かい、おしゃれ……色々な方向性がある中で、その定義を明確にするのはディレクターの役割ですか?

今回は私の方で、最初から具体的なイメージの「素案」を作成して提示する形で進めました。先方から上がってきた参考サイトをベースにしつつ、競合他社にはない良さを打ち出せるよう、多角的にリサーチを行いました。

―― 最初からある程度形にして見せたのですね。構成はどう決めていったのでしょうか?

まずはワイヤーフレームの段階で、どのコンテンツをどこに入れるかを細かく決めていきました。今回は制作前に現地取材を行い、社長や専務、現場スタッフの方々の声を直接聞いた上でマスター(構成案)を作っています。最低限必要な募集要項に加え、「人を知る」「グループを知る」「働く環境を知る」といった要素を、こちらから提案して盛り込みました。

大切なのはユーザーファーストの視点

―― サイトの構成、特にコンテンツの「順番」はどう決めているのですか?採用サイトだとファーストビューの下にすぐ代表メッセージが来るものも多いですが、今回のサイトは「会社を知る」「人を知る」「働く環境を知る」「メッセージ」と社長メッセージが1番下に配置されており、少し構成が特徴的のように思えます。

 今回のサイトでは、あえて代表メッセージを一番下に配置しています。これは「閲覧者が欲しい情報」の優先順位を考えた結果です。

―― 社長の顔や声よりも優先すべきものがあった、ということでしょうか。

大きな組織であればあるほど、入社後に社長と毎日顔を合わせるわけではありません。応募者にとって重要なのは、自分が実際に働く施設がどんな雰囲気で、どんな先輩がいるかです。そのため、まずは「組織としての方向性」に共感してもらい、次に「実際の現場」を見せる。そして、さらに深く知りたくなった人が最後に「代表の想い」にたどり着く、という動線にしています。

―― なるほど。まずはユーザーファーストがあると。

そうですね。「他がこうだから」と模倣するのではなく、ユーザー、今回で言えば求職者が求めている情報を反映させるということは、サイトを作っていくなかでは当然重要です。その上で、どういう順番でどういう動線で見せれば、その会社の魅力を効果的に伝えることができるかという視点も大切にしています。そういう観点で、もし代表メッセージよりも先輩の声の方が大事だと判断すれば、迷わずそちらを優先してご提案をします。

パートナーの力を最大化する、“噛み砕く”ディレクション

―― ディレクターは、ライターやデザイナー、コーダーなど多くのパートナーと連携します。指示を出す際に気をつけていることはありますか?

 気をつけているのは、クライアントからの要望を「そのまま横流ししない」ことです。自分の中で一度噛み砕いて、「作業する人がどうすれば迷わず、スムーズに着手できるか」を常に意識して指示を出します。

―― 今回のようなクライアントからの「明るい感じで」といった抽象的なオーダーはどう処理していくのですか?

「明るい感じ」とは具体的にどういうことか。色の選択なのか、写真の選び方なのか。それを具体的な言葉や形に翻訳するのが私の仕事です。デザイン指示であれば、「この部分にこういう写真を、こういう意図で配置してほしい」と1から10まで具体的に伝えることもあります。

―― かなり細かく指定されるのですね。

私は自分を単なる「進行管理」ではなく、「制作チームの一員」だと思っています。自分の思う「いいもの」を明確に伝えることで、結果的に手戻りが減り、クライアントにとっても制作パートナーにとっても、最も効率的で納得感のある着地ができると考えています。万が一、納期が厳しい時などは、自分でも構成案をさらに作り込むなど、現場が動きやすいように立ち回るのがディレクターの意地ですね(笑)。

AIの効率化で生まれた余白をさらなるクリエイティビティへ

―― 東田さんは社内でもAIの活用を積極的に進めていますが、ディレクション業務にAIはどう関わっていますか?

非常に活用しています。例えば、クライアントへの提案資料を作る際の「叩き台」作りですね。私が考えた構成案をAIに読み込ませて、「一般的なベストプラクティスと乖離がないか」をチェックさせたり、逆に新しい提案をもらったりしています。

―― 企画の相談相手のようなポジションですね。

 そうです。他にも、例えば「働く環境」を紹介する項目を作る際、その業界特有の福利厚生や制度に漏れがないかリストアップさせ、それを元にクライアントへ「御社にはこうした制度はありますか?」と確認を入れることもあります。AIに調査や素案作成を任せることで、クリエイティブな思考やクライアントとの対話に時間を割けるようになりました。

―― 最後に、ディレクターとして大切にしている「モットー」を教えてください。

 「コミュニケーションコストこそ最大の無駄である」と考えています。説明不足で何度もやり取りが発生するのは、お互いにとって不幸です。「ここまで言うか」というレベルまで具体的に詳細を伝え、一発で意図が伝わるように準備する。その手前の時間を惜しまないことが、最終的に最高のクオリティを生む近道だと信じています。

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