Column:俺なら、俺に依頼する

   

語り部:
STSデジタル代表 谷宮武将
2023年10月、代表取締役社長に就任。

編集・構成:STSデジタル・ライター 祢津

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STSデジタルは顧客の業界を絞らない。

絞る必要がないからである。
どんな商売にも、共通の鉄則がある。必要とする人、作る人、届ける人がいて、そこに取引が発生する。

そのなかで、我々の役割は2つある。
ひとつは「必要とする人を見つける」こと。
もうひとつは「必要だと気づかせる」ことだ。

業界が違ってもこの基本は変わらないから、特定の業界に閉じることに意味を感じない。
13年前に起業し、システムサポートグループに入った現在も、スタンスは同じだ。

もちろん、業界を知らなくていいという話ではない。
ただし、その業界にどんな会社があり、ビッグプレイヤーはどこで、どのような規制があり、商流は何か。そんなことはもうAIで調べられる。
逆にいえば、その程度のことも調べずに来る業者に、顧客は時間を割かないということだ。

「専門家である」「業界特化している」などは正直、これからの時代は大した差別化点にならない。これまでも、中途半端な専門性にあぐらをかいている業者をさんざん見てきた。
もちろん、あえて「超専門家」と呼ぶが、超希少な価値を提供できる人材は別だ。いわゆるスーパースターである。

私は正直、リスクテイクが苦手だ。

13年前にITで起業したのは、在庫を持ちたくなかったからだ。ものごとには流行りすたりがあり、時間軸によって消費者の購買意欲は変化する。簡単に言えば、新しいものは古くなり、価値が落ちる可能性が高い。
もちろん美術品のように、時間を経て価値が再発見されるものもあるだろう。しかし、あくまで例外である。つまりは、取り残されないためには常に新しいものごとに関わらなくてはならない、と考えた。誠にビビりな性格だと思う。

そのかわりに、リスクをとろうとする誰かの手伝いをすることを生業とした。
やっているうちに気づいてきたのだが、この仕事でもっとも重要なのは「信頼」だった。
しかし「信頼」とは何なのか。

ビジネスオーナーに対する信頼とは、決して逃げないことである。何度失敗しようとも、どれほどの損失を出そうとも、しっかりと頭を下げる。その結果が次のチャンスになることもあった。
事業担当者に対する信頼とは、成果である。販促のため、採用のため、担当者が社内で企画を通すためかもしれない。
レイヤーによって、信頼の尺度は異なる。早い段階でそのことに気づかされた。

「こいつなら、なんとかできるのではないか」

私の仕事の喜びは、ここにしかない。

クライアントワークにとっての信頼とは、結局こういうことだと思っている。

相談したら、何か返ってくるし、何においても否定せずに一緒に考えてくれる。そう思われる存在でありたいのだ。

ただし、誰とでも全力でやるわけにはいかない。これは、はっきり言う。
STSデジタルは、私たちの価値を分かってくれる顧客と仕事をする。ただの作業者ではなく「なんとかできないか?」と問いかけてくれる顧客のために、全力を尽くす。
顧客が業者をどう見ているかは、言ってしまえば言葉遣いに出るし、打ち合わせの態度にも、支払いにも出る。
最低限の敬意のない関係は、顧客にとっても、私たちにとっても、得るものは少ない。

一方で、私たちを信頼してくれる顧客には、実直にアンサーを出し続ける。底なしに、何度でも。
それが、私たちの誠実さである。

マーケティングは、移り変わる仕事である。

私がデジタルマーケティングを生業にしてきたのは、ニーズがあることはもちろんだが、単純に世の中の価値はすべて「時間」に関係しているからだ。

遠くに早く行きたいから、お金を払って飛行機に乗る。
いつまでも若々しく長生きしたいから、美容や医療に高いお金を払う。
他人が作ったものを買うのも、それを自分で作る時間がないからだろう。
つまり、時間である。

マーケティングは、その瞬間にしか価値がない「時価」である。そこに魅力がある。
昨日まで使えたマーケティング手法が、明日も使えるとは限らない。
正攻法で価値が伝わるなら正攻法でいいし、伝わらないなら別の道を選ぶ。
私は常に、何かしらの壁に対する抜け道を探してきたように思う。顧客の商売にとって必要だからだ。

売れるかどうかは、つくった人にもわからない。もちろん、我々も成果を保証できない。
それでも、手を尽くして伝えなければ絶対に売れないし、成功もしない。
だから新しい商品が売れていくときには「感動」としか言えないような感覚がある。
必要な人が、必要な状況で、必要に駆られてお金を払う—— その状況を顧客と創り出せたら最高だ。手段を選んでいる場合ではない。

最近、思うことがある。
私なら、絶対に私に依頼する。

その気持ちがないとやっていけない。それが我々のプロ意識というものなのであろう。

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