採用サイトを制作する際、いきなりデザインや掲載内容の検討に入ってしまうケースが少なくありません。しかし、場当たり的に進めてしまうと、途中で必要なコンテンツの抜け漏れに気づいたり、社内の合意形成がやり直しになったりと、多大なロスタイムが発生します。
本記事では、採用成功を収めている企業が実践している標準的な制作フローを、5つのステップに分けて詳しく解説します。
採用サイト制作の全体スケジュール:完成までにかかる期間と工程
採用サイトの制作期間は、サイトの規模やコンテンツの充実度によって異なりますが、一般的には3ヶ月から5ヶ月程度を見込むのが標準的です。
単にページをデザインして公開するだけでなく、自社の魅力を再定義し、それを求職者に届く形に落とし込むための工程が必要だからです。
フェーズ別の期間目安
| フェーズ | 主な内容 | 期間の目安 |
| 企画・要件定義 | コンセプト決定、サイトマップ作成 | 1ヶ月 |
| コンテンツ準備 | 取材・撮影・ライティング | 1ヶ月〜1.5ヶ月 |
| デザイン・実装 | ページ制作、システム構築 | 1.5ヶ月〜2ヶ月 |
| 確認・公開 | テスト、社内確認、本番公開 | 2週間 |
公開時期が、新卒採用の解禁日や中途採用の強化時期に重なる場合は、そこから逆算して最低でも4ヶ月前にはプロジェクトをスタートさせるのが理想的です。
ステップ1:戦略の定義(プロジェクトの土台作り)
スケジュールを把握したところで、具体的な作業に入ります。最初のステップは「誰に、何を伝え、どのようなアクションを促すか」を明確にする戦略のフェーズです。
このステップで行うこと
- 採用ターゲット(ペルソナ)の具体化
- 自社ならではの魅力(独自性)の整理
- 競合サイトの調査と分析
- サイトの最終的なゴール設定
このフェーズを疎かにすると、デザインが進んだ後に「求めている人と違う層から応募が来てしまう」「自社の強みが伝わっていない」といった問題が起きやすくなります。社内の関係者と共通認識を持つことが、スムーズな進行の秘訣です。
より詳細な採用サイトの戦略については以下の記事で詳しくまとめています。

ステップ2:情報設計(サイトマップの作成)
戦略が固まったら、次にそれをどのようなページ構成で伝えるかを考えます。これが情報設計のフェーズです。
ここで役立つのが、サイト全体の構造を可視化したサイトマップです。本記事では、実務ですぐに使えるエクセル・スプレッドシート形式のサイトマップテンプレートを用意しました。
採用サイトに必要な標準的なページ構成例
一般的な採用サイトでは、以下のような構成が基本となります。

- トップページ サイトの顔であり、企業の第一印象を決定づけます。採用コンセプトを視覚的に伝え、各コンテンツへの入り口となります。
- 私たちについて(会社概要・ビジョン) 経営理念や事業内容、目指している未来を伝えます。既存記事にある「採用サイトの戦略を定義する」でも触れている通り、企業の核となる部分を共有する重要なページです。
- 仕事を知る(職種紹介・インタビュー) 実際の業務内容や一日の流れを紹介します。社員インタビューを通じて、リアルな働き方ややりがいを可視化することで、求職者の入社後のイメージを具体化させます。
- 環境・制度(文化・福利厚生) オフィス環境や研修制度、福利厚生などを紹介します。「働きやすさ」を重視する求職者にとって欠かせない情報です。
- 募集要項・採用フロー 職種ごとの応募条件や、選考の具体的な流れを明記します。FAQ(よくある質問)を併設することで、求職者の不安を解消し、応募への心理的なハードルを下げることができます。
- エントリーフォーム 応募の最終窓口です。入力項目は必要最小限にし、離脱を防ぐ設計が求められます。
実務で使えるサイトマップテンプレートの紹介
サイト構築をスムーズに進めるために、上記のような項目を整理したエクセル・スプレッドシート形式のテンプレートを用意しました。
このテンプレートには、以下の項目が含まれています。
- ページ名と階層構造の整理表
- 各ページの目的とターゲット設定
- 掲載するコンテンツ(写真、テキスト)の準備チェックリスト
以下からダウンロードして、自社の状況に合わせて項目を追加・削除してご活用ください。
[採用サイト用サイトマップテンプレート(Excel/Spreadsheet)をダウンロードする]
テンプレート活用のポイント
サイトマップを作成する際は、単にページを並べるだけでなく、求職者がどのような順番で情報を受け取り、最終的にエントリーに至るかという動線を意識することが大切です。
例えば、インタビューを読んで興味を持った人が、そのまま募集要項へスムーズに移動できるようリンクを配置するなど、サイトマップの段階で検討しておくことで、開発効率が格段に向上します。

ステップ3:コンテンツ制作(取材・撮影・ライティング)
サイトマップで定めた各ページに必要な素材(テキスト・画像・動画)を揃えていきます。単に情報を並べるのではなく、ターゲットとなる求職者が「ここで働きたい」と自分事化できる内容にすることがポイントです。
取材・インタビュー:リアルな声を届ける
求職者が最も知りたいのは、実際に働く人の本音や職場の雰囲気です。
- 若手、中堅、ベテラン、女性、キャリア採用など、多様な層の社員をピックアップします。
- 仕事のやりがいだけでなく、苦労した点やそれをどう乗り越えたかという「リアルなエピソード」を引き出します。

写真・動画撮影:視覚的な信頼感を醸成する
サイトの第一印象は数秒で決まります。プロのカメラマンによる質の高い写真は、企業の信頼感を一気に高めます。
- 明るく清潔感のあるオフィス風景
- 実際に社員が談笑している様子や、真剣に会議をしているシーン
- 代表者の熱意が伝わるポートレート
既存の記事「採用サイトで応募を増やすコンテンツ制作の極意」でも詳しく解説していますが、求職者の信頼を勝ち取ることがCVR(応募率)の最大化に直結します。
ライティング:伝わる言葉に変換する
取材で得た情報を、ターゲットに響く言葉へ整理します。
- 専門用語を避け、分かりやすい言葉で伝える。
- 自社独自の文化や価値観を、具体的なエピソードを交えて言語化する。
- SEO(検索エンジン最適化)を意識しつつも、あくまで「人」に向けて書く。
コンテンツ制作をスムーズに進めるコツ
このフェーズは社内の多くの人を巻き込むため、制作過程で最も時間がかかる傾向にあります。
- 取材対象者のスケジュール調整を早めに行う。
- 撮影当日の服装や、オフィスの片付けなどの指示を事前に周知する。
- 「これだけは伝えてほしい」というコアなメッセージを事前に共有しておく。
素材の準備が整うことで、次のステップであるデザインやコーディングのスピードが飛躍的に上がります。
ステップ4:デザイン・実装(構築)
このステップでは、戦略とサイトマップに基づいて、視覚的なデザインを作成し、実際にブラウザで動くようにプログラミング(コーディング)を行います。
ユーザー体験(UX)を意識したデザイン
単にきれいな見た目を作るのではなく、求職者がストレスなく情報を得られる設計が求められます。
- モバイルファースト:求職者の多くはスマートフォンで閲覧します。スマホでの操作性や読みやすさを最優先にデザインを確定させます。
- 導線設計の具体化:すべてのページから「募集要項」や「エントリー」へ迷わずたどり着けるボタン配置を行います。
- ブランドイメージの反映:コーポレートカラーやロゴを活かし、自社らしい雰囲気を視覚的に表現します。
実装とCMSの導入
デザインが確定したら、コーディング作業に入ります。
- CMS(WordPress等)の活用:お知らせやブログ、インタビュー記事を社内で手軽に更新できるよう、管理画面を構築します。
- 表示速度の最適化:画像サイズを調整し、サイトの読み込み速度を上げることで、離脱を防ぎます。
このフェーズは専門的な技術が必要になるため、社内のエンジニアや外部の制作会社と密に連携を取りながら進めることになります。
ステップ5:テスト・公開・運用
サイトが組み上がったら、最終的なチェックを経て公開となります。しかし、公開はあくまでスタート地点です。
公開前の最終チェック
- リンク切れがないか。
- 誤字脱字、古い情報(給与条件など)が残っていないか。
- 異なるブラウザ(Chrome, Safari等)やデバイスで正しく表示されるか。
- エントリーフォームから正しくメールが届くか。
運用と改善(PDCA)
公開後は、アクセス解析ツールを用いて求職者の動きを分析します。
- どのページがよく見られているか。
- どこで離脱しているか。
- 実際の応募経路はどうなっているか。
既存の記事「採用サイトをフル活用する5つの運用メソッド」でも解説されている通り、制作後にどれだけ「差」をつけられるかは、この運用フェーズの精度にかかっています。
採用サイトの運用メソッドについては以下の記事でくわしくご紹介しています。

まとめ:戦略的なステップが採用の成果を生む
採用サイト制作は、正しい手順を踏むことで、単なる「会社案内」から「優秀な人材を惹きつける強力な武器」へと変わります。
- 戦略で土台を固める
- サイトマップで全体を設計する
- リアルなコンテンツで信頼を得る
- 使いやすいデザインで実装する
- 運用で改善を続ける
まずは、ステップ2でご紹介した「サイトマップテンプレート」をダウンロードし、自社に必要なコンテンツの整理から始めてみてください。

