「求人媒体(ナビサイト)に掲載しても、応募が来ない」 「スカウトメールを送っても、返信率が下がっている」 「面接を設定しても当日に無断辞退(ブッチ)されたり、内定辞退されたりする」
売り手市場が加速する今、多くの企業が従来の「待つ採用」や「投げる採用」に限界を感じています。 求職者は今、給与や待遇といった「条件」以上に、「カルチャー(リアルな働きがい)」や「一緒に働く人」を重視して会社を選んでいます。しかし、既存の手法ではその熱量が伝わりきりません。
そこで注目されているのが、自社の魅力を蓄積・発信する「採用オウンドメディア」です。
この記事では、採用オウンドメディアの正しい定義から、求人媒体やSNSと組み合わせた「連携活用術」、そして失敗しない立ち上げ手順までを完全解説します。
採用オウンドメディアとは?「採用サイト」との決定的な違い
まずは言葉の定義と役割を明確にしましょう。よくある誤解が「採用サイトを作ればいいんでしょ?」というものですが、両者は役割が異なります。
1. 静的(カタログ)か、動的(マガジン)か
- 採用サイト(Recruit Site)
- 役割:募集要項、福利厚生、会社概要などの「スペック情報」を掲載する場所。
- 更新頻度:低い(年1回や改定時のみ)。
- 限界:情報が固定されており、「今の会社の雰囲気」や「社員の熱量」が伝わりにくい。
- 採用オウンドメディア(Owned Media)
- 役割:社員インタビュー、対談、オフィス風景、プロジェクト裏話などの「ストーリー情報」を発信し続ける場所。
- 更新頻度:高い(月数本など)。
- 強み:継続的な発信により、認知と共感(ファン化)を生み出す。
2. なぜ今、オウンドメディアが必要なのか?
求職者の「情報収集リテラシー」が上がっているからです。 彼らは公式サイトの綺麗なキャッチコピーだけでは満足せず、「実際に働いている人の本音」や「入社後のリアルな日常」を探しています。 オウンドメディアは、この「知りたい欲求」に応えるための、企業の公式な情報発信基地となります。
採用オウンドメディアのメリット・デメリット
導入にあたって、社内稟議を通すための材料を整理します。特に「歩留まり改善」への効果は絶大です。
メリット(得られる成果)
1. 応募率・内定承諾率の向上(アトラクト効果) 求職者の検討フェーズに合わせて適切な記事を届けることで、志望度(熱量)をコントロールできます。
- スカウト返信率UP:「まずはこの記事を読んで」と送ることで、興味喚起のフックになる。
- 内定承諾率UP:内定者に「将来の上司」や「キャリアパス」の記事を送り、入社の不安を消す。
2. 選考離脱(面接ブッチ)の劇的な減少 「面接に行くのが面倒になった」という離脱の多くは、企業への興味が薄いことが原因です。 面接前に「あなたの担当面接官はこんな人です」というインタビュー記事を送っておくことで、求職者に親近感と敬意が芽生えます。
【実績】 実際に導入した企業では、事前の記事送付を徹底した結果、面接の無断辞退(ブッチ)がほぼゼロになったという事例もあります。
3. ミスマッチの防止(RJP効果) 良い面だけでなく、仕事の厳しさや課題も含めてリアルに伝えることで、「入社後のギャップ」を減らし、早期離職を防ぎます。
4. 採用コストの削減(資産化) 記事が資産となり、Google検索やSNS経由で応募が入るようになれば、高い掲載費を払うナビサイトやエージェントへの依存度を下げることができます。
デメリット(覚悟すべき点)
- 即効性はない: 記事が溜まり、認知されるまでに時間がかかります。「来月の採用人数を埋めたい」という緊急ニーズには向きません。
- 運用工数がかかる: 記事の企画・取材・執筆を継続する体制が必要です。ここを軽視すると更新が止まります。
【連携】既存チャネルの効果を倍増させる「メディア活用術」
採用オウンドメディアは、単独で存在させるものではありません。 既存の採用チャネルと組み合わせることで、「あと一歩」の背中を押す武器になります。
1. 求人媒体(ナビサイト)× オウンドメディア
ナビサイトの原稿スペースには限りがあり、深いストーリーまでは書けません。
- 活用法:求人票の備考欄や企業紹介欄に「先輩社員の1日密着記事はこちら」「開発秘話はこちら」とリンクを貼り、読み応えのあるコンテンツへ誘導して志望度を上げます。
2. ダイレクトリクルーティング(スカウト)× オウンドメディア
スカウトメールの返信率が低い主な原因は「知らない会社だから」です。
- 活用法:メール文面に「あなたのキャリアに近い社員のインタビューです」と記事URLを添付します。いきなり「応募して」と言うのではなく、「まずはこれを見て」と興味付けのフックとして使います。
3. 人材紹介エージェント × オウンドメディア
エージェント(キャリアアドバイザー)は、御社の魅力を100%理解しているわけではありません。
- 活用法:エージェント担当者に「求職者にこの記事を見せてください」と共有します。エージェントへの教育ツールとして使い、推薦の質と熱量を上げます。
4. 採用ピッチ資料・説明会 × オウンドメディア
- 活用法:説明会で話しきれなかった詳細なエピソードや、よくある質問(Q&A)を記事化しておき、参加後のフォローアップメールで送ります。
5. SNS(X / Instagram)× オウンドメディア
オウンドメディアは「ストック(資産)」ですが、SNSはそれを届ける「フロー(拡散)」の役割を担います。
- 活用法:
- 企業アカウント:記事の更新情報を発信し、日々の認知を獲得する。
- 社員個人アカウント(リファラル):「同僚の〇〇さんのインタビュー記事が出ました!本当に良い話なので読んでほしい」と社員にシェアしてもらうことで、社員の友人・知人(転職潜在層)に自然な形でアプローチできます。
【ツール】採用オウンドメディア構築に使えるプラットフォーム
「どうやって作るか(箱)」には、大きく3つの選択肢があります。
1. CMS(WordPressなど)
- 特徴:自由度が高く、デザインも機能もフルカスタマイズ可能。SEO(検索流入)に強い。
- 向いている企業:独自の世界観を作りたい、長期的にドメインパワーを育てたい企業。
2. 採用特化型CMS(i-rec、HITO-Linkなど)
- 特徴:採用サイト構築機能とブログ機能がセットになっている。ATS(採用管理システム)との連携が容易。
- 向いている企業:採用サイトごとリニューアルしたい、システム管理を楽にしたい企業。
3. メディアプラットフォーム(note pro、Wantedly)
- 特徴:サーバー構築不要で、今日から書き始められる。SNS的な拡散力がある。
- 向いている企業:とにかく手軽に始めたい、エンジニアリソースがない企業。
【手順】失敗しない立ち上げと運用のロードマップ
実務における制作フローは以下の通りです。
Step1:コンセプトと「欲しい人物像」の定義
「誰に」「何を」伝えて、どう思われたいか(採用ブランディング)を言語化します。ここがブレると、誰にも刺さらない日記ブログになります。
Step2:コンテンツ企画(社員インタビューが定石)
採用メディアの主役は「人」です。
- 誰を出すか? エース社員(憧れ)、若手(親近感)、中途入社者(客観視点)、育休取得者(環境アピール)。
- 何を聞くか? やりがいだけでなく、「失敗談」や「入社の決め手(ぶっちゃけ)」など、人間味のあるエピソード。
Step3:制作・構築(内製か外注か)
- 内製: 社員が書いて、社員が写真を撮る。コストは低いがクオリティ維持が難しい。
- 外注: プロが取材・撮影・執筆を行う。コストはかかるが、「読まれる記事」になり、企業の信頼感(ブランド)が高まる。
Step4:運用・拡散
記事を公開したら終わりではありません。社内チャット(Slack等)で共有し、社員にSNSでの拡散を依頼するなど、全社を巻き込んだ運用体制を作ります。
STSデジタルの採用メディア支援
採用活動において、「Webサイトの使いやすさ」と「記事のクオリティ」は、そのまま企業の「格」として判断されます。
株式会社STSデジタルでは、Web制作会社としての技術力と、コンテンツ制作会社としての編集力を掛け合わせ、成果が出る採用メディアの構築を支援しています。
- Web制作力: 応募フォームのEFO(入力しやすさ)、ATS連携、スマホ完全対応など、「応募しやすい」サイト構築。
- コンテンツ力: プロのライター・カメラマンによる取材で、社員の魅力を最大化する記事制作。
「採用サイトをリニューアルしたい」「社員インタビューを作りたいがリソースがない」という人事担当者様は、ぜひ一度無料相談をご活用ください。貴社の採用課題に合わせた最適なプランをご提案します。
