「良い記事を書いているはずなのに、順位が上がらない」 「SEO対策と聞くと、キーワードを記事に詰め込むことだと思っている」
多くの企業が陥るのが、記事単位の「点」の施策に終始してしまい、サイト全体の「面」での戦略が抜け落ちているケースです。 SEOの本質は「ユーザーに有益な情報を届けること」ですが、どんなに素晴らしい記事も、サイト構造が整理されていなければGoogleに見つけてもらえません。
この記事では、SEOの勝敗を決める「キーワード設計」から始まり、それをGoogleに正しく評価させるための「トピッククラスター」「外部施策」「テクニカル実装」まで、サイト全体で勝つためのSEO戦略を体系的に解説します。
オウンドメディアにおけるSEOの「大原則」
具体的な設計に入る前に、マインドセットを再定義しておきましょう。
1. ユーザーファーストが「主」、Google評価は「従」
SEOのために記事を書くのではありません。ユーザーの課題解決が最優先です。 しかし、Googleのクローラー(ロボット)は人間のように「文脈」を完璧には理解できません。 だからこそ、「ここには良い情報が、体系的に網羅されていますよ」とGoogleに伝えるための構造化が必要になるのです。
2. 「Apple」にSEOは必要か?(ブランドとSEOの関係)
iPhoneのサイトは「スマホ おすすめ」で1位を取ろうとしなくても、指名検索で人が来ます。圧倒的なブランドがあれば、SEO(集客テクニック)の優先度は低いかもしれません。 しかし、まだブランドが確立していない企業のオウンドメディアは、まず「検索」で見つけてもらう必要があります。 また、Appleであっても「モバイルフレンドリー(スマホ対応)」や「表示速度」を無視すれば、ユーザー体験を損ないます。最低限の「インフラ整備」は全サイトに必須です。
指名検索が増えれば、SEOのテクニックに頼らなくても集客は安定します。SEOと対になる『ブランディング』の投資対効果については、以下の記事で解説しています。
【準備】すべての起点は「キーワード設計」にある
サイトを作る前に、まずは「どんなキーワード(悩み)に応えるメディアにするのか」を設計します。ここがズレていると、後の工程すべてが無駄になります。
3. 網羅的なキーワードの洗い出し

まずはツール(キーワードプランナー等)を使い、ターゲットユーザーが検索しそうなキーワードを網羅的に洗い出します。 「オウンドメディア」というビッグワードだけでなく、「費用」「作り方」「事例」といった関連語(サジェスト)まで広く収集します。
4. 「親」と「子」へのグルーピング
洗い出したキーワードを、リストのままにしてはいけません。意味のまとまりごとに「親子関係」を作ります。
- 親テーマ(ビッグワード): オウンドメディア
- 子テーマ(ロングテール):
- グループA:立ち上げ、作り方、CMS
- グループB:運用、KPI、リライト
- グループC:費用、相場、見積もり
このグルーピング作業こそが、次に解説する「トピッククラスター」の設計図になります。
【戦略】専門性を可視化する「トピッククラスター」構築
キーワードのグルーピングができたら、それを記事コンテンツの構造に落とし込みます。これが最新SEOのスタンダードである「トピッククラスターモデル」です。
5. バラバラの記事を「意味のまとまり」にする
記事を単発で増やしていくと、サイトが散らかった「ゴミ屋敷」になり、Googleは何の専門サイトか理解できません。 キーワード設計に基づき、以下の2種類のページを作ります。

- ピラーページ(親記事): 親テーマ(例:オウンドメディアとは)について広く浅く解説する「まとめ記事」。
- クラスターページ(子記事): 子テーマ(例:費用、作り方)について深く解説する「詳細記事」。
6. 内部リンクは「推薦状」である
重要なのは、親記事と子記事を内部リンクで繋ぐことです。 子記事から親記事へリンクを集めることは、ユーザーへの「次のおすすめ」提示であると同時に、Googleへの「この記事(親)がこのテーマの重要ページです」という投票行為になります。 これにより、単体では上がりにくいビッグワード(親テーマ)の上位表示が可能になります。
【実装】Googleとユーザーに優しい「カテゴリ・UI」設計
トピッククラスター(論理構造)が決まったら、それを実際のWebサイト(物理構造)に実装します。
7. カテゴリは「運営者都合」ではなく「トピック」で分ける
カテゴリ分けは、キーワード設計のグルーピングをそのまま反映させるのが正解です。
- × 悪い例(運営者目線)
- 「ブログ」「お知らせ」「コラム」「ニュース」
- ※これではGoogleに「何の情報があるか」が伝わりません。
- ○ 良い例(ユーザー目線=トピック別)
- 「SEO対策」「SNS運用」「広告運用」「サイト制作」
- ※キーワードグループと一致させることで、専門性が伝わります。
パンくずリストも重要です。ユーザーとクローラーに「今どのトピック(階層)にいるか」を伝える必須の道標となります。
カテゴリ構造は、CMS選定や要件定義の段階で決めておくべき事項です。失敗しないサイト構築の全体フローについては、こちらのロードマップをご覧ください。

8. 信頼(Trust)を高めるUI/UXデザイン
E-E-A-Tの「Trust(信頼性)」を高めるためのUI設計も忘れてはいけません。
- 運営者情報の明示: 「誰が運営しているか」への導線をヘッダーやフッターに配置。
- 著者プロフィール: 記事ごとに執筆者・監修者を明記し、責任の所在を明らかにする。
【構築】最初に入れておくべき「テクニカルSEO」要件
記事を書き始める前の「サイト構築」の段階で、必ず実装しておくべき技術的なルールがあります。これらは後から直すと膨大な手間がかかるため、初期設計が命です。
9. クローラビリティとインデックスの最適化
- URLの正規化: 「wwwあり/なし」「index.htmlあり/なし」を統一し、評価の分散を防ぐ。
- SSL対応(HTTPS): 常時SSL化は必須。非対応サイトはブラウザで警告が出て信頼を失う。
- XMLサイトマップ: クローラーに巡回ルートを教える地図を用意し、Search Consoleに送信する。
10. 正しいHTML構造(セマンティックマークアップ)
見出しタグ(h1, h2, h3)を正しく使うことはもちろん、<article> <section> <nav> といったHTML5タグを適切に使い、Googleに「ここは記事本文」「ここはメニュー」と文書構造を正しく伝えます。
11. クリック率(CTR)を高めるMetaタグ設定
検索結果に表示される情報は、記事の中身ではなく「Metaタグ」で決まります。
- Titleタグ: キーワードを左側に配置し、32文字前後で魅力的にする。
- Meta Description: 記事の要約だけでなく、「読むメリット」を書いてクリックを促す。
12. モバイルフレンドリーと表示速度
- レスポンシブ対応: スマホでの閲覧最適化はランキング要因の一つ。
- Core Web Vitals: LCP(表示速度)、INP(応答性)、CLS(視覚的安定性)の改善。
13. 検索結果をリッチにする「構造化マークアップ」
記事の中身をGoogleに正しく理解させるために、HTMLに特別なタグ(JSON-LDなど)を記述します。
- 役割: 検索エンジンに対して「この記事はQ&Aです」「著者はこの人です」「パンくず構造はこうです」と、意味(セマンティクス)を伝える。
- メリット: 検索結果に「よくある質問」や「レビューの星」などが表示される「リッチリザルト」が期待でき、クリック率(CTR)の向上に繋がる。
【外部施策】「被リンク」を獲得するコンテンツ戦略
内部施策(サイト構造)と並んで重要なのが、外部サイトからのリンク(被リンク)獲得です。 Googleは被リンクを「他者からの支持票」とみなすため、ドメインパワー向上に直結します。
14. 「買わない」リンク獲得戦略
被リンクはお金で買うものではなく、「引用されるコンテンツ」を作って自然に獲得するものです。
- 一次情報の発信: 独自の調査データ、アンケート結果、カオスマップなどは、「出典元」として他サイトに引用されやすい。
- 取材記事の相互リンク: 取材先の企業サイトから「インタビューを受けました」とリンクを張ってもらう。
【運用】公開後の「効果測定」と「リライト」
SEOは公開して終わりではありません。順位を維持・向上させるためのメンテナンスが必要です。
15. 定期的な効果測定(健康診断)
Google Search Consoleを使って、以下の指標を定点観測します。
- 掲載順位: 狙ったキーワードで何位にいるか。
- クリック率(CTR): 表示されているのにクリックされていない記事はないか(タイトルの改善余地)。
16. リライトによる順位改善
一度書いた記事も、情報の鮮度が落ちれば順位は下がります。競合の状況に合わせて情報を追加したり、検索意図のズレを修正したりする「リライト」作業が、運用の本丸です。
具体的なリライトの手順や、順位を復活させるポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

STSデジタルのSEO支援
オウンドメディアのSEOは、ライティングだけでは完結しません。キーワード設計から始まり、サイト構造、技術的な実装までを一貫して行う必要があります。
株式会社STSデジタルは、Web制作会社としての技術力と、コンテンツ制作会社としての編集力を掛け合わせ、「Googleに正しく評価されるサイト設計」を支援します。
- 設計力: キーワード分析に基づいた、トピッククラスターとカテゴリ構造の提案。
- 技術力: 表示速度改善やセマンティックマークアップなど、エンジニアリング領域の内部施策。
- コンテンツ力: 取材や事例制作による「独自性(一次情報)」の強化。
「記事は書いているが順位が上がらない」「サイト構造から見直したい」という方は、ぜひ一度無料相談をご活用ください。貴社サイトの「SEO構造診断」を実施します。
