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失敗しないオウンドメディアのリニューアル手順|SEO評価を守りCVRを倍増させる「移行」の技術

失敗しないオウンドメディアのリニューアル手順|SEO評価を守りCVRを倍増させる「移行」の技術

「デザインを一新して、もっと自由に記事を更新したい」 「今のシステムが使いにくくて、やりたい施策が打てない」

リニューアルの目的は、見た目を綺麗にすることではありません。「コンテンツ(資産)」の価値を最大化し、成果を生み出す環境を整えることです。

しかし、多くのリニューアルプロジェクトが、足元の「システム現状」を無視して理想のデザインばかり先行させ、いざ実装段階で「今のデータ構造では移行できません」「その機能は実装できません」と頓挫します。

この記事では、コンテンツ戦略を確実に実現するために避けて通れない「システム制約の把握」から、SEO評価を引き継ぐ「安全なデータ移行」まで、プロの実務フローを完全公開します。

目次

【Phase1:現状把握】オウンドメディアのブラックボックスを解明する「3つの事前調査」

リニューアルの第一歩は、夢(デザイン)を描くことではなく、現実(今のシステム)を知ることです。 本格的な要件定義に入る前に、必ず以下の3つの基礎データを揃えてください。これがない状態でプロジェクトを進めるのは、地図を持たずに航海に出るのと同じです。

ディレクトリーマップ、コンテンツリスト、システムアーキテクチャ

1. 管理システムの「仕様実態」

ドキュメントが残っていればベストですが、多くの場合は更新されておらず、実態と乖離しています。Webマスターや制作会社と連携し、実際の管理画面やコードを確認して「現在の仕様(何が動いているか)」を確定させます。

  • 独自カスタマイズの有無
  • 必須プラグインの特定
  • 外部システム連携(MAツールなど)

これらを洗い出し、「新しいシステムで再現できるか(または代替手段があるか)」を検証します。

2. 現在の「カテゴリー構造図」

今のサイトがどのような階層構造になっているか、ディレクトリマップを作成して可視化します。

  • 階層が深すぎてクローラーが届いていないページはないか?
  • 似たようなカテゴリが乱立していないか?

現状の構造を把握することで、リニューアル時に「整理・統合」すべき箇所が見えてきます。

3. 全記事の「コンテンツリスト(サイトマップ)」

全ページのURL、タイトル、公開日、現在の流入数などを網羅したリストを作成します。 SEOだけでなく、メルマガやSNSからの流入も含めて把握します。これが後の「移行判定(捨てるか残すか)」や「リダイレクト対照表」を作るための台帳になります。

【Phase2:移行計画】資産(記事コンテンツ)をどう運ぶか?

現状が把握できたら、具体的なコンテンツの仕訳とリニューアル計画を立てます。

1. 成果(データ)に基づいた「4象限仕分け」

移行する前に、全記事をリスト化し、アクセスの多さとCVへの貢献度で4つに分類します。

成果(データ)に基づいた「4象限仕分け」
  • A. スター記事(高流入・高CV)
    • 処遇: 完全移行(URL維持)。 1文字もURLを変えてはいけない聖域。
  • B. 集客記事(高流入・低CV)
    • 処遇: リライト移行。 記事の中にCTA(導線)を追加し、CVさせる記事へ生まれ変わらせる。
  • C. キラー記事(低流入・高CV)
    • 処遇: デザイン強化。 事例記事などが該当。流入は少なくても成約に近いため、見た目をリッチにして信頼感を高める。
  • D. 負債記事(低流入・低CV)
    • 処遇: 削除(404)または統合(301)。 質の低い記事はサイト全体の評価(ドメインパワー)を下げるため、勇気を持って捨てる。

2. システム上の「情報の器(データ構造)」を再定義する

多くの失敗例は、役割の違うコンテンツをすべて「ブログ(お知らせ)」と同じ構造で管理してしまうことです。 リニューアルを機に、コンテンツの性質に合わせてデータ構造を分けましょう。

  • フロー情報(お知らせ・ニュース)
    • 鮮度が命。トップページでの表示エリアを分け、過去ログはアーカイブ化する。
  • ストック情報(コラム・ノウハウ)
    • 検索流入が目的。カテゴリ構造やタグ設計をSEO特化にする。
  • アセット情報(導入事例・実績)
    • 信頼獲得が目的。単なる本文エリアだけでなく、「企業ロゴ」「課題」「導入効果」などを独立したデータ項目として管理し、統一されたフォーマットで出力する。

★STSの強み: CMSの機能に依存せず、「読者にどう見せるべきか」というコンテンツ視点から、最適な情報アーキテクチャ(設計図)を描きます。その上で、それを実現するのに最適なシステム(WordPress、Headless CMS、フルスクラッチ等)を選定します。

3. データ移行の現実的な判断(DB移行 vs 手作業)

魔法のようにボタン一つで移行できるわけではありません。記事数とデータ構造に合わせて、最適なルートを選びます。

  • DB移行(プログラム置換): 記事数が数千件あり、データ構造が整っている場合。開発コストはかかるが、大量データを正確に運べる。
  • 手作業移行(コピペ): 記事数が少ない、または旧記事のHTML構造がバラバラでプログラム移行が困難な場合。泥臭いが、記事のリライト(品質向上)を同時に行えるメリットもある。
  • ハイブリッド: 基本はDB移行し、崩れた箇所や重要記事だけ手作業で直すパターン。

4. 移行要件から「新システムアーキテクチャ」を決める

「WordPressを入れたい」が先ではありません。 「今の資産(記事・会員データ)を安全に引き継ぎつつ、新しいコンテンツ戦略を実現するにはどの箱が最適か?」という視点で、CMSやサーバー構成を決定します。

【Phase3:設計・実装】コンテンツのパフォーマンスを最大化する

箱(システム)が決まったら、その中でコンテンツが最も輝くデザインと構造を作ります。

1. SEO評価を守る「リダイレクト設計」

リニューアルで最も恐ろしいリスクは、URLが変わることで検索順位がリセットされ、アクセスが激減することです。これを防ぐ唯一の手段が「301リダイレクト」です。

301リダイレクトとは?(SEO評価を運ぶ「転居届」)

Webサイトにおける「郵便局への転居届」のような仕組みです。 これを設定することで、旧URLに蓄積された**「Googleからの評価(検索順位)」「読者のアクセス」**を、自動的に新URLへ転送できます。 逆に設定し忘れると、これまで積み上げたSEO評価がリセットされ、検索順位が圏外に落ちてしまうため必須の手順です。

実務は「1対1の対照表」作りから

「旧URLのA記事は、新URLのA’記事へ」という紐付けを定義した**「リダイレクト対照表」**を全ページ分作成し、サーバー(.htaccessなど)に実装します。 ここがSEO評価継承の命綱となるため、もっとも慎重な設計が求められます。

2. 運用と成果を最大化する「システム的なデザイン設計」

リニューアルは、継ぎ接ぎで複雑化したサイト構造をリセットし、「運用しやすく、成果が出る構造」に作り変える絶好の機会です。 単なる「見た目の刷新」ではなく、以下の4点を実装レベルで組み込みます。

表示速度の高速化(Core Web Vitals対策): 古いコードを捨て、次世代画像フォーマット(WebP)への対応やソースコードの軽量化を行います。表示速度はSEO順位とCVRに直結する重要指標です。

パーツの共通化(コンポーネント設計): ボタン、見出し、枠などのデザインを統一パーツとして管理します。これにより、将来的なデザイン変更が一括で反映でき、サイト全体の統一感(トンマナ)が保たれます。

使い回せる「投稿テンプレート」の確立: 「導入事例用」「インタビュー用」「セミナー告知用」など、コンテンツタイプごとに専用の入力フォーマット(カスタムフィールド)を用意します。担当者は文字と画像を流し込むだけで、プロのデザインで出力されるため、運用工数が劇的に下がります。

関連リンクのロジック化(回遊導線): 「同じカテゴリの記事」や「同じタグの記事」を自動的にレコメンド表示するロジックを組み込みます。手動リンクの張り忘れを防ぎ、サイト内の回遊率を底上げします。

【Phase4:切り替え計画】リリースと「万が一」への備え

公開ボタンを押して終わりではありません。オウンドメディアを止めないための安全策を用意します。

1. 切り替え手法の決定

DNS切り替え(サーバー移転)なのか、同サーバー内での上書きなのか。ドメイン変更の有無によっても手順は変わります。

2. トラブル時の「切り戻し(ロールバック)」計画

どんなに準備しても、リリース直後に予期せぬトラブルは起き得ます。 その際、「すぐに旧サイトの状態に戻せる手順」を用意しているかが、プロとアマチュアの分かれ道です。これがないリニューアルは、命綱なしの綱渡りと同じです。

失敗しないリニューアルパートナーの選び方

オウンドメディアのリニューアルにおいて、パートナー選びは「デザインの好み」だけで決めてはいけません。 なぜなら、リニューアルの失敗原因の9割は、「制作会社の守備範囲のミスマッチ」から起きているからです。

「デザイン」と「システム」の分断を防ぐ

多くの制作会社は、得意分野が偏っています。 デザイン会社に依頼すれば「見た目は綺麗だが、裏側のSEO設計がボロボロ」になり、システム会社に依頼すれば「機能は完璧だが、回遊率やCVRを無視した無機質なサイト」になりがちです。

成功の鍵は、「コンテンツ(マーケティング)」と「システム(技術)」の両方の言語を話し、実装できるパートナーを選ぶことにあります。 提案を受ける際は、以下のポイントを必ず確認してください。

パートナー選定 3つのチェックポイント

  1. データ移行の「技術力」はあるか? 「記事の移行は手作業(コピペ)になります」と安易に言う会社は危険です。数千記事ある場合、データベース操作による一括移行や、新旧システム間のデータマッピングができる技術力があるかを確認しましょう。
  2. SEO継承の「設計図」を描けるか? 「リダイレクト設定もやります」という口約束だけでなく、「どのページをどこに飛ばすか」を定義したディレクトリマップやリダイレクト対照表を作成するプロセスが見積もりに含まれているかを確認しましょう。
  3. リリース後の「保守」と「改善」はセットか? 作って終わりではありません。「サーバーのセキュリティ保守」と「記事の順位計測・リライト提案」の両方に対応できるか? どちらか一方しかできない場合、運用フェーズで別の会社を探すことになります。

システム会社と制作会社のミスマッチは、リニューアル失敗の典型的な原因です。「片手落ち型」などのよくある失敗パターンを事前に把握し、リスクを回避しましょう。

STSデジタルのリニューアル支援

株式会社STSデジタルは、Web制作の技術力と、コンテンツ制作の知見を掛け合わせ、「資産を守り、攻めを最大化するリニューアル」を支援します。

  • 現状解析:ドキュメントがない複雑なシステムでも、コードベースで解析し、制約条件を洗い出します。
  • 安全な移行:緻密なリダイレクト設計と、切り戻しまで想定した堅実なリリース計画。
  • コンテンツ整理:データに基づいた記事の断捨離・統合を提案。

「今のシステムに限界を感じている」「リニューアルで失敗したくない」という方は、ぜひ一度無料相談をご活用ください。貴社サイトの「リニューアル難易度診断」を実施します。

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