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オウンドメディア運用の「やること」完全ガイド|KPI設計・記事制作から改善サイクルの回し方

オウンドメディア運用の「やること」完全ガイド KPI設計・記事制作から改善サイクルの回し方

「記事は定期的に更新しているが、成果が出ているかわからない」 「何をもって『成功』とするのか、社内の評価基準が曖昧なまま走っている」

オウンドメディアの立ち上げ後、多くの担当者が直面するのがこの「運用の壁」です。 メディアは公開してからが本番ですが、多くの企業が「記事を書くこと(作業)」を目的にしてしまい、肝心な「成果の評価(分析)」がおろそかになりがちです。

オウンドメディア運用で成果を出すためには、記事を作る「コンテンツ制作力」だけでなく、サイト自体を改善する「Web制作・分析力」の両方が必要不可欠です。

この記事では、運用の大前提となる「KPI設計」から、具体的な「日々のタスク一覧」、そして自社に合った「運用体制の作り方」までを体系化して解説します。

目次

【前提】運用開始前に「評価できる環境」を作る

運用とは、闇雲に走ることではありません。ゴールに向かって適切に進んでいるかを確認しながら進むプロセスです。そのためには、記事を書き始める前に「ものさし(評価基準)」を用意する必要があります。

1. コンセプトと「誰に何を届けるか」の定義

ここがブレていると、どんなに記事を量産しても誰にも刺さらないメディアになります。「誰の(ペルソナ)」「どんな悩みを解決し」「最終的にどうなってほしいか」を言語化しておきましょう。

ブログやSNSとの違いを理解せず、ただ記事を更新していても資産にはなりません。運用を始める前に、オウンドメディアがビジネスにおいて果たす『本来の役割(PESOモデル)』を理解しておきましょう。

2. KGI(最終ゴール)とKPI(中間指標)の設計

「なんとなくPV(ページビュー)が増えればいい」という目標設定は危険です。ビジネスの目的に直結する指標を設定しましょう。

  • KGI(最終ゴール)
    • 売上金額、リード獲得数(資料請求・問い合わせ)、採用応募数など。
  • KPI(中間指標)
    • KGIを達成するために必要な数値。
    • PV、UU(ユニークユーザー)、セッション数、ホワイトペーパーDL数、指名検索数など。

例えば「質の高いリード」が欲しい場合、PVを追うよりも「ホワイトペーパーのダウンロード率」や「サービスページへの遷移率」をKPIに置くべきです。

3. 分析環境の整備

数字が見えなければ、改善の打ち手は打てません。以下のツールは最低限導入し、データが取れている状態にしておきましょう。

  • GA4(Google Analytics):サイト内のユーザー行動(どこから来て、どこで離脱したか)を計測。
  • Google Search Console:検索キーワードや掲載順位を計測。
  • ヒートマップツール:記事のどこが読まれ、どこで飛ばされているかを可視化。

運用の本質は「評価」から「改善」へのサイクル

オウンドメディア運用の仕事は、「記事を納品して終わり」ではありません。公開後のデータを見て、次の一手を考える「PDCAサイクル」こそが本質です。

1. データ分析(評価)

毎月、設定したKPIの達成度をチェックします。 重要なのは「達成したか・未達か」だけでなく、「なぜ良かったのか(悪かったのか)」の要因を特定することです。

2. ボトルネックの特定と改善策

数字を見ることで、問題の箇所(ボトルネック)が見えてきます。

  • 記事は見られているがCV(問い合わせ)しない場合:
    • 記事の中身は良いが、導線(ボタン位置やバナー)が悪い可能性があります。
    • 対策:ボタンの色を変える、フォームを簡素化するなど「Webサイトの改善」が必要です。
  • そもそも人が来ない場合:
    • 記事のSEOキーワード選定や、タイトルが悪い可能性があります。
    • 対策:リライトや新規記事の追加など「コンテンツの改善」が必要です。

3. 場合によっては「ゴール(KPI)」も見直す

運用していく中で「当初のKPI設定が現実的でなかった」「フェーズが変わった」と気づくこともあります。 一度決めた目標に固執せず、状況に合わせて柔軟にKPIを再設定する(例:まずはPV重視から、CVR重視へ切り替える)のも、運用担当者の重要な仕事です。

【実務編】オウンドメディア運用の「やることリスト」

では、具体的に何をすればいいのでしょうか。運用タスクは大きく「コンテンツ(攻め)」と「サイト保守(守り)」に分かれます。

1. コンテンツ運用(攻め)

集客を増やし、ユーザーの関心を高めるための施策です。

  • 企画・構成案作成:検索意図に基づいた記事の設計図を作る。
  • 執筆・編集:SEOライティングと校正。
  • リライト(過去記事修正):
    • 実は新規作成と同じくらい重要です。検索順位が落ちてきた記事や、情報は古くなった記事をメンテナンスし、順位を再浮上させます。

[オウンドメディアの記事制作マニュアル|SEO上位を狙う「構成案」と「独自性」の作り方]

2. サイト・システム運用(守り・接客)

集まったユーザーを快適に接客し、CVへ導くための施策です。ここは記事ライターではなく、Web制作(エンジニア・デザイナー)のスキル領域です。

  • UI/UX改善
    • スマホで見やすいレイアウトにする、CVボタンのデザインを目立たせる、回遊率を上げるために関連記事枠を調整するなど。
  • 保守管理
    • サーバー監視、ドメイン更新管理。
    • CMS(WordPressなど)やプラグインのアップデート(セキュリティ対策)。
    • リンク切れチェックと修正。

この「サイト運用」がおろそかになると、いくら記事を増やしてもザルで水をすくう状態になり、成果が出ません。

自社に合うのはどれ?オウンドメディアの「運用体制」パターン

【比較表】オウンドメディア運用体制 3パターンのメリット・デメリット

比較項目パターンA:完全内製(すべて社内でやる)パターンB:記事外注(書く作業だけ頼む)パターンC:運用パートナー(STSデジタル等に依頼)
主な依頼先なし(社員)クラウドソーシング、
フリーランス
制作会社、編集プロ
コスト(固定費)
※採用・教育費含む
(変動費)
※1記事単位の支払い
中〜高(変動費)
※月額運用費など
立ち上げスピード
(採用・教育に数ヶ月)

(ライター探しに時間)

(プロのチームが即稼働)
記事品質バラつきあり
(担当者のスキル依存)
不安定
(安価な外注は質が低い)
高・安定
(プロの編集者が担保)
Webサイト改善
(CVR改善)
〇 可能
(※エンジニアがいれば)
× 放置されがち
(ライターは触れない)
得意
(分析から改修まで対応)
担当者の負担激重
(実務・管理すべて)

(品質管理・修正指示)

(戦略・承認のみ)
向いている企業・社内に編集部がある
・エンジニアがいる
・とにかく安く量産したい
・社内に編集長がいる
成果(CV)を急ぎたい
・社内リソースがない

これまで挙げた「戦略」「記事制作」「サイト改善」「分析」をすべて一人で行うのは困難です。自社のリソース状況に合わせて、最適な体制を選びましょう。

パターンA:完全内製(社内チーム)

編集長、ライター、Webデザイナー、エンジニアをすべて社員で賄うパターンです。

  • メリット:社内にノウハウが蓄積される。意思決定と実行が早い。
  • デメリット:採用・育成コストが非常に高い。担当者が退職した際のリスクが大きい。Web担当者が「何でも屋」になり疲弊しやすい。

パターンB:記事だけ外注(クラウドソーシング等)

編集長(戦略)は社員が担当し、書く実務(手足)だけをフリーランスやライター会社へ依頼するパターンです。

  • メリット:比較的安価に記事数を担保できる。
  • デメリット:サイトの改善(Web制作領域)が放置されがちになる。記事の品質管理やディレクション工数は社員に残るため、忙しさは変わらないことも多い。

パターンC:運用パートナー(制作会社・代理店)

戦略設計から記事制作、サイト保守、分析レポートまでをチームとして依頼するパターンです。

  • メリット:「Web制作」と「記事」のプロが両輪で回すため、最短で成果が出る。社員はコア業務(承認・社内調整)に集中できる。
  • デメリット:外注コストがかかる(ただし、専任社員を1名採用する人件費よりは安く収まるケースが多い)。

【結論】リソース状況による判断基準

  • 社内にエンジニアやデザイナーがいて、協力体制があるなら「A」か「B」で進められます。
  • 「一人担当者」や、社内にWeb制作スキルがない場合は、「C」のパートナー活用が最も安全で確実です。

失敗しない運用パートナーの選び方

運用代行を依頼する場合、会社選びで失敗しないためのポイントは2つです。

1. 「記事」と「Web制作」の両方ができるか?

ここが最も重要です。「記事制作会社」に依頼すると、記事は納品されますが「ボタンの色を変えてほしい」「レイアウトを直してほしい」といった要望には対応できない(または別料金)と言われることがあります。 数字を見て、サイトの改修提案までワンストップで対応できる会社を選びましょう。

2. 「戦略(KPI)」の相談に乗ってくれるか?

言われた通りに記事を書くだけの会社ではなく、「今のKPI設定はズレていませんか?」「今は記事を増やすより、リライトを優先しませんか?」と、目的達成のための戦略を提言してくれるパートナーを選びましょう。

STSデジタルの運用支援

株式会社STSデジタルは、システム開発・Web制作会社としての技術的バックボーンと、数百件の実績があるコンテンツ制作力を併せ持っています。

  • サイト改善力:CVRを高めるためのデザイン改修、CMSの保守管理まで対応。
  • コンテンツ力:SEOに強い記事構成と、取材による独自コンテンツの制作。
  • 戦略パートナー:クライアントのKGI達成に向けた、KPI設計からの伴走支援。

「記事は書いているが成果が出ない」「サイトの保守まで手が回らない」という方は、ぜひ一度無料相談をご活用ください。現状のサイト診断と、運用課題のヒアリングからスタートします。

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