「PV(アクセス)はあるのに、問い合わせ(CV)が来ない」 「リード獲得のためにメディアを始めたのに、成果が出ている実感がない」
多くのオウンドメディア担当者が抱えるこの悩み。原因の多くは、ユーザーの「検索意図(インテント)」と、こちらが用意した「出口(オファー)」がズレていることにあります。
まだ情報収集段階(勉強中)のユーザーに、いきなり「商談」を迫っても離脱されるだけです。逆に、検討段階に入ったユーザーを、入力しにくいフォームや不親切な導線で逃しているケースも少なくありません。
この記事では、リード獲得数を最大化するための3つのステップを解説します。
- 戦略: 検索意図に合わせた「CVポイント(マイクロコンバージョン)」の設計
- 改善: クリック率を高める「マイクロコピー」と「EFO(入力フォーム最適化)」
- 追客: 離脱を防ぐ「チャットボット」と「リマーケティング広告」
「穴の空いたバケツ」を塞ぎ、メディアを最強の営業装置に変えるためのノウハウを網羅しました。
【戦略】リード獲得の鉄則は「検索意図」と「出口」の一致
「すべての記事に『お問い合わせボタン』を置いておけばいい」というのは間違いです。キーワードによってユーザーの心理状態(温度感)は全く異なるため、それぞれに適したゴールを用意する必要があります。
1. 記事を「2つの役割」に分類する
まずは自社の記事を、狙っているキーワードの性質に合わせて以下の2つに分類してください。

そもそも、ターゲット設定やカスタマージャーニーが曖昧なままでは、適切なオファーも設計できません。戦略の立て直しが必要な場合は、以下の記事も参考にしてください。
タイプA:行動・解決型(Do / Buyクエリ)
- キーワード例:
〇〇 費用〇〇 比較〇〇 制作会社 - ユーザー心理: 「今すぐ解決したい」「パートナーを探している」。
- 狙うべき行動: 直接コンバージョン(見積もり、相談、資料請求)。
- 対策: 記事内で自社の強みをしっかりアピールし、目立つ位置に「無料相談」「料金シミュレーション」への導線を置く。
タイプB:情報収集・学習型(Knowクエリ)
- キーワード例:
〇〇とは〇〇 メリット〇〇 手順 - ユーザー心理: 「勉強したい」「知りたいだけ」。まだ発注する気はない。
- 狙うべき行動: マイクロコンバージョン(ホワイトペーパーDL、メルマガ登録)。
- 対策: 営業色は消し、「もっと詳しい資料がありますよ」と学習の延長線上にあるオファーを出す。
集客の入り口となる『学習型記事(SEO記事)』で、検索意図を外さずに信頼を獲得する書き方については、こちらで詳しく解説しています。
2. 「インテントのズレ」がCVRを下げる最大の要因
失敗するパターンの多くは、タイプB(学習者)に対して、タイプA(今すぐ客)向けのオファーを出してしまっているケースです。
「〜とは」という記事を読んでいる人は、まだ課題が顕在化していません。そこに「無料相談はこちら」と営業をかけても、「今はいいや」と離脱されるだけです。 逆に、この層に適切なお役立ち資料などを用意できれば、将来の見込み客リスト(リード)として獲得できます。
【戦術】「マイクロコンバージョン」の設計と配置
「お問い合わせ」へのハードルが高い場合、情報の対価としてライトな接点(階段)を作ることが重要です。これをマーケティング用語で「マイクロコンバージョン(MCV)」と呼びます。

そもそも「マイクロコンバージョン」とは?
最終的なゴール(問い合わせ・受注)に至るまでの「中間ゴール」のことです。
多くのオウンドメディアでは、訪問者の90%以上が「まだ検討段階(情報収集)」です。この層に対して、いきなり「商談」を求めても離脱されてしまいます。 そこで、「商談まではいかないが、興味はある」というユーザーに対し、「お役立ち資料のダウンロード」や「メルマガ登録」といった小さなハードルのゴール(MCV)を用意することで、見込み客との接点を作ることができます。
3. コンバージョンのハードルを下げる「階段」を作る
いきなり「電話番号」や「会社名」を聞き出すのが難しい場合、以下のようなMCVを用意して、CVへの階段を作りましょう。
- メールマガジンの登録:継続的な更新情報の提供
- ホワイトペーパー(お役立ち資料): ノウハウやチェックリストの提供。
- 事例集(ケーススタディ): 「他社はどうしているか」を知りたい欲求に応える。
特にBtoBにおいて、導入事例は最強のリード獲得コンテンツです。読まれる事例の構成やインタビュー項目については、以下の記事をご覧ください。
【完全版】成果が出る導入事例の作り方|必須インタビュー項目と構成・活用法 - 診断コンテンツ: 「あなたの会社の適正コスト診断」など、結果を知りたい欲求に応える。
4. 記事カテゴリごとの「オファー最適化」
サイドバーに全ページ共通のバナーを置くだけでは不十分です。記事の内容(コンテキスト)に合わせて、差し出す資料を変えるのがベストです。
- SEOカテゴリの記事なら: 「SEOチェックリスト」のDLボタン。
- 採用カテゴリの記事なら: 「採用ピッチ資料」のDLボタン。
- ノウハウ関連の記事なら:テンプレートのDLボタンや、チェックリストのDLボタン
【実装】リードの獲得率を高める「Web接客」
戦略(マッチング)が決まったら、次はそれを取りこぼさないための「サイト改修(Web接客)」を行います。ここは記事ライティングではなく、UI/UXデザインの領域です。
5. 「営業色」を消し「メリット」を提示するコピー
CVボタンの文言(マイクロコピー)は、単なるラベルではありません。ユーザーがクリックするかどうか迷った背中を押す、最後の接客担当者です。
なぜ「マイクロコピー」でCVRが変わるのか?
ユーザーはボタンを押す直前、無意識に「不安」や「面倒くささ」を感じています。
- 「これを押したら、しつこい営業電話がかかってくるのでは?」
- 「『送信』って、何か契約させられるようで怖い」
この心理的ハードルを超えさせるには、「企業側の都合(TAKE)」ではなく、「ユーザーが得られる未来(GIVE)」を言葉にする必要があります。
良いコピーへの変換テクニック

「動作」ではなく「得られる価値」に書き換えましょう。
- × 悪い例(動作)
- 「資料請求する」
- 「問い合わせる」
- 「送信する」
- → ユーザーにとっては「手間がかかる」「個人情報を渡す」というコストに見える。
- ○ 良い例(価値・メリット)
- 「成功事例集を無料で読む」
- 「1分で完了。料金シミュレーションを見る」
- 「非公開データを受け取る」
- → ユーザーにとっては「有益な情報が手に入る」というリターンに見える。
たった数文字の違いですが、これだけでクリック率は1.5倍〜2倍変わることも珍しくありません。
6. 離脱を防ぐ「EFO(入力フォーム最適化)」
クリックしてくれたユーザーを、入力フォームの「面倒くささ」で逃がしていませんか? 一般的に、フォーム到達後の離脱率は平均で60%以上と言われます。ここを改善することは、新たな集客コストをかけずに成果を増やす最も確実な方法です。
- 項目数を減らす: 「会社名」「電話番号」は本当に必須か? メールアドレスだけで良ければ、CVRは跳ね上がる。
- リアルタイムバリデーション: 入力ミスをその場で教える機能などを実装する。
関連リンクによる「回遊」でCVを狙う
すべてのユーザーが、最初に訪れた1記事目だけでコンバージョンするわけではありません。興味を持ってくれたユーザーを、より「CVに近い記事(キラーコンテンツ)」へ誘導し、熱量を高める設計が重要です。
- キラーコンテンツへ送客する: 集客用の記事(Knowクエリ)から、「導入事例」「料金表」「比較記事」といった、検討度の高い記事へ内部リンクを張りましょう。
- 「合わせ読み」を提案する: 記事の末尾や文中に「この記事を読んだ人には、こちらもおすすめです」と関連リンクを提示し、サイト内の滞在時間を延ばすことで、ブランドへの信頼残高を積み上げます。
離脱ユーザーを逃さない「最後のセーフティネット」
どんなにWeb接客を最適化しても、多くのユーザーはCVせずに離脱します。ここで諦めるか、食い下がるかが成果の分かれ道です。
8. 疑問をその場で解決する「チャットボット」
ユーザーが離脱する大きな原因の一つに、「記事を読んでも解消しきれなかった『小さな疑問』」があります。
- 「自分の業界でも対応しているのかな?」
- 「大体の費用感だけ知りたいんだけど…」
この程度の疑問で、わざわざハードルの高い「お問い合わせフォーム」入力までするユーザーはいません。そのまま「面倒くさい」と感じて離脱してしまいます。
そこで有効なのが、画面右下に常駐するチャットボットです。 「料金表はこちら」「導入事例を見る」といった選択肢を提示するだけで、ユーザーは能動的にクリックしてくれます。電話やメールよりも心理的ハードルが圧倒的に低いため、ここで接点を持てる確率は非常に高いです。
9. 去り際を狙う「離脱防止ポップアップ」
ユーザーが「戻るボタン」を押そうとしたり、タブを閉じようとした瞬間に、「資料だけでも見ていきませんか?」とポップアップを表示する施策です。
- オファーの質が重要: 単なる引き止めは嫌われます。「今ページを閉じようとしたあなたへ。このノウハウ資料(無料)だけは受け取ってください」といった、ユーザーメリットのある提案であれば、最後の最後でCVを拾える可能性があります。
10. サイト外から追客する「リマーケティング広告」
一度サイトを訪れたユーザーに対して、GoogleやSNS上で再度広告を表示させる手法です。
- 検討期間の長いBtoBに必須: BtoBの検討期間は数ヶ月に及ぶこともあります。一度離脱しても、リマケ広告で「導入事例」や「セミナー情報」を定期的に見せることで、検討のタイミングが来た時に第一想起される状態(マインドシェア)を維持できます。
- 低コストで運用可能: 無差別に出す広告とは違い、「一度関心を持った人」だけに配信するため、比較的安価に質の高いリードを獲得できます。
STSデジタルのリード獲得支援
「戦略はわかったが、記事のリライトも、ポップアップの実装も、広告運用も手が回らない」 そんな企業様のために、STSデジタルでは「Web制作」と「コンテンツ制作」の両面から支援を行っています。
- 戦略設計: 検索意図に基づいたCVポイントの設計と、回遊導線の最適化。
- コンテンツ制作: 受け皿となる「ホワイトペーパー」の企画・制作から、キラーコンテンツ(事例)の取材まで。
- Web実装: 「EFO(フォーム改修)」や「離脱防止ツール」、「チャットボット」の導入・シナリオ設計。
「今のメディアのCVRが適正か知りたい」「どこから手を付けるべきか診断してほしい」という方は、ぜひ一度無料相談をご活用ください。貴社メディアの「CV導線診断」を実施します。
記事制作やサイト改修を外注する場合の費用相場については、以下の記事で内訳を解説しています。
記事制作代行の料金相場を徹底解説
