「オウンドメディアを外注したいが、検索すると『制作会社』『SEO会社』『マーケティング会社』が出てきて違いがわからない」
「見積もり金額の差が激しくて、何が違うのか判断できない」
オウンドメディアの立ち上げや運用を検討する際、最初の壁となるのがパートナー(外注先)選びです。
実は「制作会社」と言っても、その出自(バックグラウンド)によって得意分野は全く異なります。ここを見誤ると、「箱(サイト)は立派だが中身が空っぽ」「記事は増えたがサイトが使いにくい」といったミスマッチが起き、プロジェクトは失敗します。
この記事では、複雑な制作業界を「4つのタイプ」に分類し、それぞれの強みと弱みを解説します。さらに、自社のリソース状況から最適な依頼先を判別する「Yes/No診断チャート」も公開します。
まずは「業界地図」を理解する(4つのプレイヤー分類)
オウンドメディア支援を行う企業は、大きく以下の4つに分類されます。それぞれの「得意なこと」と「苦手なこと(穴)」を理解しましょう。

1. 広告代理店・Webマーケティング会社
広告運用や全体戦略の設計を得意とするプレイヤーです。
- 特徴: 「どう売るか」というKGI/KPI設計や、広告・SNSと連動した集客戦略に強い。
- 強み: ビジネスゴール(売上)から逆算した提案ができる。
- 弱み: 実制作(Webデザインや記事執筆)は、さらに別の会社へ再委託(外注)しているケースが多い。そのため、費用にマージンが乗り割高になったり、細かいクリエイティブの修正に時間がかかったりすることがある。
2. SEO対策会社(コンサルティング系)
検索アルゴリズムの分析や、順位を上げるためのロジック提供に特化したプレイヤーです。
- 特徴: キーワード設計、競合分析、ライターへの構成指示書作成が得意。
- 強み: 数字(検索順位・流入数)へのコミット力が高い。論理的なサイト設計ができる。
- 弱み: 「指示」はするが「実装(手)」は動かさないことが多い。「記事の執筆は御社でやってください」「システム改修は制作会社に依頼してください」というスタンスの場合、社内に実務部隊がいないとプロジェクトが進まない。
なお、SEO会社が提案するような『トピッククラスター設計』や『E-E-A-T対策』などの専門的な戦略論については、以下の記事で解説しています。
3. Web制作系(デザイン・システム開発)
「箱(Webサイト)」を作るプロフェッショナルです。さらに細かく3つに分かれます。
- デザイン会社: ビジュアル重視。ブランディングや世界観の表現に強い。
- Web制作会社: コーポレートサイト等の構築が得意。標準的なCMS導入に対応。
- システム開発会社: 大規模な会員基盤との連携や、セキュリティ要件が厳しい構築に強い。
- 共通の弱み: 「中身(コンテンツ)」の制作機能を持っていないことが多い。「箱は用意したので、あとは自由に投稿してください」となり、SEOライティングの知見がないまま運用がスタートしてしまうリスクがある。
制作会社に求められる『システム要件定義』や『SEO評価を引き継ぐ移行技術』については、以下の記事で実務フローを公開しています。
4. コンテンツ制作会社(編集・ライティング)
「中身(記事)」を作るプロフェッショナルです。
- 編集プロダクション: 出版社や雑誌出身者が多く、企画力や取材力が高い。読み物としての面白さを追求できる。
- ライティング会社: クラウドソーシングなどを活用し、安価に大量の記事(SEO記事)を生産できる。
- 弱み: Webサイト自体の改修(CVボタンの変更や表示速度改善など)には対応できない。テクニカルなSEO施策が抜け落ちることがある。
単なるライティングだけでなく、検索意図に基づいた『構成案』から作成できるかどうかが品質の分かれ目です。プロの構成案の作り方はオウンドメディアの記事制作マニュアルをご覧ください。
【比較表】タイプ別・得意領域マトリクス
それぞれの特徴を表にまとめました。全ての項目が「◎」の会社は存在しません。自社が何を求めているかで優先順位を決めましょう。
| タイプ | 戦略・KPI | SEO分析 | サイト構築・保守 | 記事制作 | 費用感 |
| Webマーケ | ◎ | ◯ | △(外注) | △(外注) | 高(マージン含) |
| SEOコンサル | ◯ | ◎ | ×(指示のみ) | △(構成のみ) | 中〜高 |
| Web制作 | △ | △ | ◎ | × | 中(構築費メイン) |
| コンテンツ | △ | ◯ | × | ◎ | 低〜中(記事費メイン) |
【Yes/Noチャート】自社に合うのはどこ?リソース状況別の選び方
「どこが一番いい会社か」という問いに正解はありません。「自社のリソース(社内の人間)でできないこと」を補ってくれる会社が、あなたにとっての正解です。
以下のフローチャートで、自社に必要なパートナータイプを診断してください。
最短でわかる!パートナー選定Yes/Noチャート
Q1. オウンドメディアの「目的(KGI)」と「戦略(KPI)」は明確ですか?
- NO(決まっていない) ➡ 【A】 Webマーケティング会社・コンサル へ
- YES(決まっている) ➡ Q2へ進む
Q2. 社内に「記事の執筆・編集」ができる体制はありますか?
- YES(書ける) ➡ Q3へ進む
- NO(書けない・リソースがない) ➡ Q4へ進む
Q3. 社内に「Webサイト構築・システム保守」ができるエンジニアはいますか?
- YES(作れる) ➡ 【B】 SEO対策会社(コンサル型) へ
- (補足:自走できるので、外部からは「設計図(指示)」だけもらえばOK)
- NO(作れない) ➡ 【C】 Web制作会社 へ
- (補足:中身は自社で作れるので、外注するのは「箱(サイト)」だけでOK)
Q4. 社内に「Webサイト構築・システム保守」ができるエンジニアはいますか?
- YES(作れる) ➡ 【D】 コンテンツ制作会社 へ
- (補足:箱はあるので、外注するのは「中身(記事)」だけでOK)
- NO(作れない&書けない) ➡ 【E】 ハイブリッド型制作会社(STSデジタル) へ
- (補足:箱も中身も足りていないため、バラバラに頼むと破綻する。「ワンストップ」で頼むのが正解)
診断結果の解説
- Aになった方: 戦略のプロが必要です。「とりあえず作る」のではなく、事業課題の整理から伴走してくれるパートナーを選びましょう。
- Bになった方: 実働部隊は社内に揃っています。必要なのは「正しい地図(SEO戦略)」です。指示書作成や分析に特化した会社を選びましょう。
- Cになった方: 「良い記事」を書く力はあります。それを活かすための「SEOに強い箱(サイト)」を作ってくれる開発パートナーを選びましょう。
- Dになった方: 「良いサイト」を守る力はあります。不足している「記事量産」のピースを埋めてくれる編集プロダクションなどを選びましょう。
- Eになった方: 「記事」と「Web」の両方のリソースが不足しています。これを別々の会社(CとD)に発注すると、ディレクションが複雑化し失敗します。システムとコンテンツの両方を一社で完結できる「ワンストップ対応」の会社が最適解です。
発注前に確認すべき「ミスマッチ防止」のチェックリスト
候補の会社が決まったら、契約前に以下のポイントを必ず確認してください。
- 「戦略(KPI設計)」まで伴走してくれるか?言われた通りのものを作るだけか、それとも「そのKPI設定は危険です」といったプロ視点の提案があるか。
- 「サイト保守」と「記事制作」の境界線はどこか?運用中に「ボタンの色を変えたい」と思った時、誰に言えばいいのか。追加費用になるのか、定額内で対応してくれるのか。
- 再委託(下請け)の有無と管理体制実務を行うのは誰か。クオリティコントロールの責任者は明確か。
STSデジタルの立ち位置
最後に、私たちSTSデジタルの立ち位置について説明します。
私たちは、「Web制作会社」の技術力と、「コンテンツ制作会社」の編集力を併せ持つ、ハイブリッド型の制作会社です。
向いている企業(診断結果Eの方)
- 「サイト構築(リニューアル)」と「記事制作」をセットで依頼したい。
- 社内にエンジニアも編集者もおらず、複数の会社をディレクションする余裕がない。
- SEOを意識したサイト設計と、記事制作をワンストップで行いたい。
提供できる価値
「記事に合わせてサイトを改修する」「サイトの構造に合わせて記事を企画する」といった、システムとコンテンツの連携がスムーズに行えます。窓口が一つで済むため、ご担当者様のコミュニケーションコストを最小限に抑えられます。
『Web制作』と『コンテンツ』を融合させることで、以下のようなCVR改善施策や、戦略的な運用体制の構築が可能になります。


「自社に何が足りていないのか相談したい」「まずは見積もりだけ比較したい」という方は、ぜひ一度無料相談をご活用ください。
