1ページ構成のホームページは、情報が読みやすく、デザイン面でも優れた表現ができる形式です。しかし「SEOに弱いのではないか」と不安に感じる方も少なくありません。実際には、1ページ特有の構造を理解し、適切な対策を行うことで、十分に検索成果を出すことができます。本記事では、1ページサイトならではのSEO対策を、実務的な観点から整理して解説します。
1ページサイトのSEOでは「設計」が最重要
1ページサイトはURLが1つのため、複数テーマを扱うことができません。通常のSEOのように、サービスごとのページを追加したり、関連キーワードをページ単位で広げる方法を取れないため、SEOの中心は「設計の精度」になります。
多ページサイトの場合、情報が増えたら下層ページで補完できますが、1ページでは扱えるテーマ量が限られるため、最初の設計を正しく整えることが成功の前提条件となります。
キーワードは「1テーマ」に収束させる
1ページサイトでSEOを行う際の最大の要点は、「狙うテーマを1つに絞ること」です。複数のキーワードや複数の訴求軸を同居させると、構造が破綻し、Googleにもユーザーにも意図が伝わりにくくなります。
1ページで狙える／狙えないキーワードの傾向
| 種類 | 狙える | 狙えない |
|---|---|---|
| 単一サービス | 整体 姿勢改善 | 整体＋リラク＋トレーニングなど複数展開 |
| ローカル系 | 美容院 〇〇市 | 市名×複数カテゴリ（美容院・リラク・ネイルなど） |
| 単品EC | 〇〇サプリ 効果 | 比較・ランキング系ワード |
| BtoB | 1テーマで完結するソリューション | 多機能・複合課題サービス |
セクション構造で「下層ページの代わり」をつくる
多ページサイトなら「特徴」「料金」「FAQ」「事例」などをページ分割できますが、1ページサイトではすべてをページ内で完結させる必要があります。そのため、セクション構造が下層ページの代わりとなります。
基本的なセクションの流れ
・ファーストビュー
・課題と価値
・サービスの特徴
・事例・レビュー
・サービスの流れ
・料金
・FAQ
・補足情報
・お問い合わせ（CTA）
ページ内の流れが自然であるほど、ユーザー体験が向上し、結果的にSEO評価にも好影響を与えます。
見出し（Hタグ）構造を最適化する
1ページサイトではH2・H3構造の乱れが多ページサイト以上にSEOへ影響します。Googleは見出しを手がかりにページ内容を理解するため、見出し構造は非常に重要です。
見出し最適化のポイント
・主要セクションはH2（特徴 / 料金 / FAQなど）
・H3はH2の補助説明に使う
・H4以降は極力使わない
・見出しにキーワードを詰め込みすぎない
情報量を最適化する（少なすぎても多すぎてもNG）
1ページサイトでは、情報量の調整が難しい特徴があります。
情報が少なすぎる場合
・専門性が伝わらない
・検索意図を満たさない
・信頼性が不足する
情報が多すぎる場合
・読み切れない
・テーマがぼやける
・キーワードが散ってしまう
文章量の目安
・メインテーマ部分：1200〜2500字
・事例やFAQで補足：800〜1500字
→ 合計2500〜3500字程度が多くの業種で最適化しやすい構成。
画像・ビジュアルの最適化
1ページサイトはビジュアル要素が多いため、画像最適化はSEOに直結します。
最適化のポイント
・すべての画像に適切なaltテキストを入れる
・内容と関連性のある写真を使う
・容量を軽量化する
・説明のない装飾画像を乱用しない
・説明の必要な画像にはキャプションを添える
FAQは「不足情報を補う最重要パーツ」
説明量に限界がある1ページサイトでは、FAQが情報補完として大きく役立ちます。
FAQが重要な理由
・不足しがちな説明を補える
・検索意図を広く拾える
・構造化データに対応しやすい
・専門性・信頼性の補強になる
FAQは実質的に“下層ページの役割”を担う要素です。
構造化データ（1ページで優先すべきもの）
構造化データは検索結果での理解や可視性向上に役立ちます。
1ページでは、次の種類が特に効果的です。
・FAQ
・ローカルビジネス
・サービス
・レビュー
・会社情報（必要に応じて最低限）
UX（読みやすさ・見やすさ）がSEOに直結しやすい
1ページサイトは離脱が直接SEOに影響しやすいため、UX改善の重要度が高くなります。
改善のポイント
・スクロールで自然につながる構成
・読み進めやすい情報の順番
・どの位置からでもお問い合わせへ移動しやすい
・スマホで読みやすいレイアウト
・アニメーションを最小限にする
1ページの限界と、SEOを強化する現実的な方法
テーマによっては、どうしても1ページだけではSEOを成立させにくい場合があります。その際は以下の拡張方法が有効です。
現実的な解決策
・ブログを追加し検索範囲を広げる
・事例ページだけ独立させる
・FAQページを切り出す
・複数サービスは個別ページへ分割する
1ページのメリットを残しつつ、SEOの弱点を補える構造です。
まとめ
1ページサイトはテーマ数・情報量に限界があるものの、適切なテーマ選定とページ設計によってSEO成果を出すことは十分可能です。テーマを1つに絞り、セクション構成・見出し・FAQ・画像最適化などを丁寧に整えることで、ユーザーにも検索エンジンにも評価されるページになります。必要に応じて補助ページを追加することで、1ページの強みを保ちつつSEOを拡張することもできます。
