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1ページホームページの作り方|制作フローと業種別テンプレート

1ページホームページの作り方|制作フローと業種別テンプレート

1ページホームページは、情報を一枚のページに整理して伝える形式のため、制作工程自体は複雑ではありません。しかし、情報量が限られるからこそ、最初に何を整理し、どの順番で配置し、どのような流れで読み手に伝えるかが成果を大きく左右します。本記事では、1ページ構成を採用することが決まっている読者に向けて、制作フローを最初から最後まで文章中心で丁寧に解説します。店舗やサービスサイト、コーポレートなど、用途ごとのワイヤーフレームテンプレートについても触れ、制作全体の理解を深められる内容としています。


目次

1ページホームページ制作の全体像

1ページホームぺージ作成の流れ
情報を整理する→構成を作る→ページ設計・デザインする→実装と公開

1ページホームページをつくる流れは、大きく分けて「情報を整理する」「構成をつくる」「ページとして設計・デザインする」「実装し公開する」という4つの段階に整理できます。複雑な階層を持つサイトと違い、ページ数が1つであるため、工程そのものは比較的シンプルです。ただし、その分ひとつひとつの判断がページ全体に強く影響するため、各段階を丁寧に進める必要があります。

最初に目的とターゲットを明確にし、その目的の達成に必要な情報を集め、1ページ内に収まるように取捨選択します。そのうえで、情報をどの順番で並べるべきかという構成を作り、視覚的なレイアウトを定めるワイヤーフレームに落とし込みます。ワイヤーフレームが固まったら、ページ全体の印象を決定するデザインを施し、最後にサイトとして実装し、公開前のチェックを行うという流れです。


目的とターゲットを明確にする

1ページサイト制作で最も重要な作業が、最初の「目的」と「ターゲット」の明確化です。1ページは情報が集約される分、目的が曖昧だと必要な情報が整理できず、逆に情報不足にもつながります。まず、このページで何を実現したいのかをはっきりさせます。問い合わせを増やしたいのか、来店予約を促したいのか、商品購入につなげたいのか、あるいは会社やサービスの内容を簡潔に伝える名刺代わりのサイトとして使いたいのか。それによってページの核となる情報が大きく変わっていきます。

次に、そのページを誰が見るのかを具体的にイメージします。初めてサービスを知る人なのか、すでに検討段階に入っている人なのか、あるいは周辺地域の来店客なのか。読み手の知識レベルや求める情報の深さが異なるため、ターゲットを明確にすることで情報量や説明の濃淡が適切に調整できます。この段階で設定を怠ると、1ページに過剰な情報が押し込まれたり、逆に説明不足で伝わらなかったりするため、非常に重要な工程です。


情報整理:必要な情報を洗い出し、優先順位をつける

目的とターゲットを整理したあとは、ページに載せるべき情報をすべて洗い出します。ここで大切なのは、最初は削らずにすべて書き出すことです。会社情報、サービス説明、料金、写真、沿革、代表メッセージ、実績、レビューなどを集め、その後で必要性の高い順に並べ直していきます。

1ページサイトでは「何を載せるか」ではなく「何を載せないか」の判断が非常に重要です。読み手が理解と行動をしやすい順に並べることで、自然な流れが生まれます。

以下に、情報の優先度を整理した表を示します。

情報の優先度(表)

優先度内容の種類具体例
高い説明の中心となる情報サービスの価値/特徴/料金/導入の流れ/CTA
中間信頼性を補強する情報事例/レビュー/会社情報
低い補足情報(なくても伝わる)沿革/長い代表メッセージ/深い技術説明

このように優先度を可視化しておくことで、構成づくりが格段にやりやすくなります。


構成(セクション設計)を決める

セクション設計 ストーリーに沿ってユーザーが理解でき、納得感が選べられるように並べる

情報を整理したら、それをどの順番で並べるかを決めます。1ページ構成では、読み手がスクロールしていく流れそのものがストーリーになります。そのため、セクションの順序は「読み手が自然と理解できる順番」を意識して決める必要があります。

たとえば、サービスサイトであれば、ページを開いた瞬間にサービスの概要がわかるファーストビューが最初に必要です。その後、サービスの特徴や強みを提示し、次に信頼性を示す実績を挟むことで、読み手は「良さ」と「安心感」を理解できます。そのうえで導入の流れや料金を説明し、最後に問い合わせの案内を設置すると、自然な流れで行動へつながります。

構成の一例としては、次のような流れが代表的です。

セクション狙い
ファーストビュー読み手に最初の一言でサービスを伝える
サービス概要提供内容を簡潔に説明する
特徴・強み選ばれる理由を具体的に示す
実績や事例信頼性を補強し、納得感を高める
詳細説明サービスのしくみやメリットを補足する
料金費用と含まれる内容を明確に説明する
会社情報信頼性を支える基礎情報
FAQ不安点を事前に解消する
CTA最後の行動につなげる

1ページの構成では「説明順」と「心理の流れ」が一致していることが重要です。


ワイヤーフレームを作る

構成が固まったら、それを視覚的なレイアウトに落とし込む作業がワイヤーフレームです。ワイヤーフレームとは、ページの骨組みを示す簡易図で、文章や画像の位置関係、余白の配置、セクションの区切りなどをシンプルに整理します。色や細かな装飾はまだ必要なく、あくまで「どこに何を置くか」を確認する段階です。

1ページサイトは特に縦に長い構造になることが多いため、スクロールのリズムや情報の密度を意識する必要があります。スマホの閲覧が中心になる場合は、最初からスマホレイアウトを前提に考えると、読みやすいページになりやすいという特徴があります。また、問い合わせボタンなどの行動導線は1ページ内に複数配置することが一般的で、ワイヤーフレーム段階でその配置位置を明確にしておくとデザインがスムーズになります。

ワイヤーフレームを作ることで、文章量が適切か、写真が必要な箇所はどこか、見出しの配置は十分かなどが可視化され、後の手戻りが大幅に減ります。


デザイン:ページ全体の流れをつくる

デザインは、ワイヤーフレームで決めた構造をもとに、色や写真、フォントなどを使ってページを完成形へ近づける工程です。1ページ構成の場合、ページ全体がひとつのストーリーとして繋がっていくため、余白や色の使い方、画像のトーンなどを統一し、一体感のあるデザインにすることが重要です。

スクロールを進めても単調にならないよう、視覚的な変化を適度に入れることも重要です。背景色を切り替える、写真のサイズを変える、要素の配置を左右で切り替えるなど、あくまで読みやすさを保ちながら変化をつけることで、長いページでも飽きにくくなります。スマホ閲覧時の視認性は特に重要で、フォントサイズ、余白、行間、ボタンサイズなどを事前に想定してデザインする必要があります。


実装(ツールを選んで構築する)

デザインが完成したら、実際にページを構築する段階に進みます。ノーコードツール、CMS(WordPressなど)、あるいはHTML/CSSでの実装など、使用するツールによって作業方法は異なりますが、1ページサイトはほとんどどのツールでも作成が可能です。ここで大切なのは、ワイヤーフレームとデザイン通りに配置し、スマホとPCの両方で違和感のない表示に調整することです。

問い合わせフォームの設置やリンク先の設定、画像の軽量化など、細かい調整によって読みやすさや使いやすさが左右されます。ツールによってはアニメーションや視差効果などを簡単に付けられますが、過度に使用すると読みづらくなるため、目的達成に本当に必要かどうかを基準に判断します。


公開前のチェックポイント

公開直前には、1ページならではの視点でページを確認します。特にスクロール量やスマホでの表示は成果に直結するため、細かい部分まで確認します。読み手の視点でページをスクロールし、自然に理解できる流れになっているか、途中で迷う部分がないか、CTAが適切な間隔で配置されているかを確認します。

また、スマホで表示が崩れていないか、読み込み速度が遅くないか、フォームが正常に送信できるかなど、機能面の確認も欠かせません。第三者に確認してもらうと、客観的な改善点が見えやすくなります。


業種別|1ページホームページのワイヤーフレームテンプレート

最後に、用途別のワイヤーフレームテンプレートを紹介します。それぞれの業種が1ページ構成で押さえるべきポイントを文章で説明します。

コーポレートサイト

コーポレートサイトに適したワイヤーフレームは、会社紹介を中心にした構造です。事業内容は簡潔にまとめ、会社概要や実績、アクセス情報など信頼性を高める情報を適切に配置します。採用情報は1ページに収めるには情報量が多いため、別ページとして切り出すほうが適切です。

店舗サイト

店舗サイトでは、視覚的な魅力が成果に直結します。店内や商品、施術の様子など写真の比重が高くなり、営業時間や場所、予約方法といった実用情報をすぐに確認できる位置に配置します。予約導線はページ上部と下部の2か所に入れることで使いやすくなります。

サービス提供型サイト(BtoB/BtoC)

サービス提供型のサイトは、1ページ構造と最も相性が良い領域です。サービスの価値を明確に伝え、導入事例や料金、利用までの流れをストーリーとして整理することで、読み手が自然に理解しやすくなります。ベネフィットから入り、納得感を持って行動に誘導することがポイントです。

単品ECサイト

単品ECでは、商品を中心に構成します。商品の価値、特徴、レビュー、保証情報などを順に配置し、不安を解消しながら購入へ導きます。購入ボタンはページ内に複数配置し、スクロール中どのタイミングでも行動できるようにすると効果的です。


まとめ

1ページホームページの制作は、工程自体はシンプルですが、情報整理や構成の順序、ワイヤーフレームの設計など、要所での判断がページ全体と成果に大きな影響を与えます。目的とターゲットを明確にすることから始まり、情報を適切に取捨選択し、ストーリー性のある構成をつくることで、読み手に負担をかけずに必要な情報を届けることができます。

用途に応じたワイヤーフレームテンプレートを参考にすることで、自分の事業に合ったレイアウトを理解しやすくなり、制作を迷わず進められます。工程を順番に進めることで、1ページでも十分に伝わるホームページをスムーズに作成することができます。

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