「時間をかけて導入事例を作ったのに、PVがあまり伸びない」 「有識者との対談記事を公開したが、問い合わせにつながらない」オウンドメディアや企業ブログを運営するマーケティング担当者様から、このような悩みをよく伺います。
しかし、断言します。インタビュー記事の価値を「PV(ページビュー)」だけで測るのは非常にもったいないことです。
取材・インタビュー記事は、Web上のコンテンツである以上に、企業の信頼性を高め、営業活動を強力に後押しする「資産」です。 この記事では、インタビュー記事をマーケティングや営業活動全体で使い倒し、リード獲得から商談・受注につなげるための具体的な活用術を解説します。
なぜマーケティングに「取材・インタビュー記事」が最強なのか?
数あるコンテンツの中でも、なぜインタビュー形式の記事がマーケティングにおいて強力な効果を発揮するのでしょうか。その理由は主に4つあります。
1. 「第三者視点」による信頼性(ウィンザー効果)
自社で「弊社の商品は素晴らしいです」とアピールしても、顧客は「売り込み」と受け取ります。しかし、利害関係のない第三者が「あの商品は素晴らしかった」と語れば、その言葉は真実味を帯びます。これを心理学で「ウィンザー効果」と呼び、BtoB・BtoC問わず、顧客の信頼を勝ち取るための最も有効な手段の一つです。
2. 有識者の「権威性・専門性」を自社ブランドに付与できる
業界の教授、著名人、専門家などにインタビューを行うことで、その人物が持つ権威を自社ブランドに借りることができます。 「あの先生が注目している企業」「業界のトップランナーと対談できる企業」という事実は、無名のスタートアップや中小企業にとって、一足飛びにブランド力を高めるチャンスになります。
3. Googleが好む「一次情報(オリジナル)」
近年のSEO(検索エンジン最適化)では、「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」が極めて重要視されています。 ネット上の情報をまとめただけの記事ではなく、独自の対話から生まれるインタビュー記事は、Googleが最も評価する「一次情報(オリジナルコンテンツ)」の宝庫であり、検索順位の上昇にも寄与します。
4. 感情を動かす「ストーリーテリング」
機能スペックの羅列は、顧客の「左脳(論理)」には届いても記憶には残りません。 一方で、導入に至るまでの葛藤、苦労、そして成功の喜びといった「物語(ストーリー)」は、顧客の「右脳(感情)」を動かし、共感を生みます。この共感が、最終的な選定の決め手となるのです。
目的別に使い分ける! マーケティングに効く3つのインタビュー形式
一口にインタビュー記事と言っても、目的によって最適な形式は異なります。以下の3つのパターンを戦略的に使い分けましょう。
| 導入事例・レビュー | 有識者・専門家対談 | 社内メンバーインタビュー | |
| ターゲット | 検討層・決裁者 (今すぐ客) | 潜在層・業界関係者 (これから客) | 既存顧客・ファン (リピーター) |
| 主な役割 | CVの最後の一押し (商談化・受注) | 認知拡大・権威付け (ブランディング) | 信頼醸成・LTV向上 (ファン化) |
| 強み | リアルな成果と 実体験の説得力 | 業界内での ポジショニング確立 | 「顔が見える化」による 安心感・親近感 |
1. 導入事例・お客様の声(レビュー)
- ターゲット: 検討層(BtoBなら決裁者、BtoCなら購入検討者)
- 役割: コンバージョン(成約)への最後の一押し。
最も直接的な売上貢献が見込めるコンテンツです。 BtoBの場合は「導入事例(Case Study)」として、課題・解決策・定量的な成果(ROI)を論理的に構成し、稟議書にそのまま使えるような情報を提供します。 BtoCの場合は「レビュー(Review)」として、ユーザーのリアルな使用感や、商品があることでライフスタイルがどう豊かになったかを感情豊かに描きます。
2. 有識者・専門家インタビュー
- ターゲット: 潜在層、業界関係者
- 役割: 認知拡大、ブランディング、SEO流入。
業界の未来予測やトレンド解説をテーマにします。「〇〇業界の今後」といったビッグワードでの検索流入を狙えるほか、専門家の知名度を活用してSNSでの拡散も期待できます。自社が「業界のリーダーポジション」にいることを印象づけるのに最適です。
3. 社内メンバー(開発者・CS)インタビュー
- ターゲット: 既存顧客、コアなファン層
- 役割: LTV(顧客生涯価値)向上、信頼醸成。
開発秘話やカスタマーサポートの想いを発信します。「顔が見える企業」として安心感を与え、競合他社との情緒的な差別化を図ります。
【フェーズ別】記事を骨までしゃぶり尽くす「マルチユース(二次利用)」戦略
取材記事はコストも手間もかかります。だからこそ、1本作ったらWebに載せて終わりではなく、以下のチャネルに展開する「ワンソース・マルチユース」を徹底し、投資対効果を最大化させましょう。
1. 集客・認知
- SNSの切り抜き画像: 記事のリンクを貼るだけでは見られません。インタビュー中の「パンチライン(名言)」や、有識者の写真をアイキャッチ画像にしてX(旧Twitter)やFacebookに投稿し、インプレッションを稼ぎます。
- 広告クリエイティブ: 「〇〇業界の権威が語る〜」「導入企業〇〇社の本音」というフックは、一般的な広告バナーよりもクリック率(CTR)が高くなる傾向にあります。
2. リード獲得・育成
- ホワイトペーパー(PDF)化: Web記事をPDF形式に整え、「成功事例集」や「特別対談録」としてダウンロード資料にします。記事を読むために「会社名・氏名」を入力してもらうことで、匿名の読者を「リード(見込み顧客)」に転換できます。
- メルマガ配信: ハウスリスト(保有している顧客リスト)に対し、記事を配信します。特に有識者インタビューや同業他社の事例は開封率が高く、休眠顧客の掘り起こしに有効です。
3. 商談・提案書・受注
- 営業資料への組み込み: 会社案内や提案書の「実績・信頼性」パートに、事例記事の要約やQRコード、有識者の推薦コメントを掲載します。
- 「印刷物」として手渡し: Web記事をあえて紙の小冊子やリーフレットとして印刷し、展示会や対面商談で手渡します。特に、決裁権を持つ年配の役員層には、URLを送るよりも「紙の事例集」を手渡す方が、信頼感と熟読率が圧倒的に高まります。
マーケティング成果を出すための「制作時の3つのポイント」
最後に、マーケティング活用を前提とした記事制作のポイントを3つ紹介します。
1. タイトルには「社名」より「ベネフィット(成果)」を入れる
読者は他社に興味はありません。「自分にどんな得があるか」にしか興味がありません。
- ×「株式会社〇〇様 導入事例」
- 〇「残業時間を50%削減! 株式会社〇〇様が実践したDXの全貌」 このように、タイトルだけで記事の価値(ベネフィット)が伝わるようにしましょう。
2. 写真は「プロ品質」で権威性を最大化する
特に有識者インタビューや経営者対談において、写真は「権威の証明」そのものです。 どれほど素晴らしい内容でも、スマートフォンで撮影した暗い写真では、話している内容までチープに見えてしまいます。
ライティング(照明)、構図、背景にこだわり、プロのカメラマンが撮影することで、「しっかりした取材を行っている企業」という信頼感が醸成されます。

3. 記事下に明確なCTA(出口)を用意する
記事を読み終わった直後は、読者の温度感が最も高まっています。このタイミングを逃してはいけません。 「資料請求」「無料相談」「事例集ダウンロード」など、次のアクションへ誘導するボタン(CTA)を必ず設置しましょう。
まとめ
取材・インタビュー記事は、単なるWebサイトの「読み物」ではありません。 信頼を獲得し、権威を借り、顧客の心を動かす強力なマーケティングツールです。
- 第三者の「権威性」や「レビュー」を活用して信頼を得る
- 1つの取材をWeb、PDF、紙、SNSと使い回す
この視点を持って企画・制作することで、取材記事は貴社の売上に貢献する重要な「資産」となります。 ぜひ、今ある記事の活用法から見直してみてください。
