株式会社STSデジタル

インタビュー外注でよくある失敗と防止策

インタビュー外注でよくある失敗と防止策

信頼できるパートナー選びで成果を最大化するために

目次

導入

インタビュー記事の制作を外注する企業は増えています。
自社で十分なリソースを確保できず、専門的な構成力や取材スキルを求めて外部に依頼するケースは珍しくありません。
しかし、その一方で「期待していた内容と違う」「取材が浅くて使えない」「納期が遅れた」など、外注にまつわるトラブルも少なくありません。

インタビュー記事は、取材対象者との信頼関係を前提に成り立つものです。
一度でもトラブルが起きると、取材先企業や社内広報体制に影響を与え、ブランドイメージを損ねることさえあります。
本稿では、インタビュー記事を外注する際によくある失敗と、その防止策を体系的に整理します。
これから発注を検討している企業担当者の方に向けて、トラブルを防ぎ、確実に成果を出すためのポイントをまとめました。


インタビュー外注でよくある失敗パターン

目的が共有されず、記事の方向性がズレる

もっとも多いのは、発注時に記事の目的や想定読者が十分に共有されていないケースです。
「採用ブランディングのためのインタビュー」と「製品の導入事例としてのインタビュー」では、構成・質問・見せ方がまったく異なります。
発注側が意図を伝えきれず、制作側が一般的なインタビューとしてまとめてしまうと、読者に響かない記事になります。

防止策としては、発注前に「目的」「読者」「記事を読んでほしい人物像」を文書で明確に共有し、初回の打ち合わせ時点で方向性の合意を取ることが欠かせません。


取材準備が不十分で浅い記事になる

外注側が事前リサーチを怠った結果、表面的なやり取りに終始してしまうケースもあります。
「取材時間は守られたのに、内容が薄い」と感じるのは、質問設計と事前準備の精度が低いからです。
発注時に取材対象者の情報やこれまでの取り組み資料を渡していなければ、深掘りした質問は出てきません。

防止策としては、発注側が社内資料やプレスリリース、関連ページなどを事前に共有し、取材の目的を理解してもらうことです。
また、外注先が質問リストを事前に提示してくれる体制を持っているかどうかも、選定の基準になります。


インタビュアーの力量不足(質問設計・深掘りができない)

ライターや取材担当者のスキル差が品質に直結するのがインタビューです。
表面的な質問の羅列に終わるか、相手の話を引き出してストーリー化できるかは、担当者の経験に左右されます。
特にBtoB領域では、業界知識がないライターが担当した場合、発言意図を誤解して掲載してしまうリスクもあります。

防止策として、発注前に「担当予定のライター/インタビュアーが誰か」「過去実績に類似テーマがあるか」を確認することが重要です。
制作会社に依頼する場合も、担当者のプロフィールや実績記事を提示してもらうようにしましょう。


編集クオリティが安定せず、媒体基準を満たせない

取材はスムーズでも、納品された原稿が媒体のトーンや品質基準に合わないことがあります。
社内で修正対応を行うことになり、結果的にコストも時間もかかるというパターンです。

編集チェック体制が弱い外注先では、複数のライターが別々の基準で執筆するため、全体のトーンや構成が統一されません。
初稿レビューや社内チェックの工程が組まれていない場合も同様です。

防止策は、編集プロセスの透明性を発注前に確認することです。
「初稿チェックは誰が行うのか」「編集担当は固定か」「最終校正の責任者は誰か」などを契約前に明確にしておくとトラブルを防げます。


納期や修正対応でトラブルが発生する

取材スケジュールの変更、確認の遅れ、修正対応の行き違いなど、制作工程で発生するトラブルも多く見られます。
クラウドソーシング経由の個人依頼では、納期遅延や連絡断絶などのリスクが特に高い傾向にあります。

防止策は、スケジュール共有を細かく行うことと、契約段階で「修正回数」「納品形式」「納期厳守ルール」を明記することです。
また、チーム体制を持つ制作会社に依頼すれば、担当者不在時にもバックアップが効くため、リスクを下げられます。

例)納期・修正対応トラブルの典型例

発生原因よくある状況結果・影響
スケジュール共有の不備担当者間で取材日程や校正締切の認識がずれる納期遅延・社内承認が間に合わない
修正ルールの曖昧さ修正回数や範囲が契約時に明示されていない追加費用や関係悪化に発展
連絡手段の統一不足メール・チャット・電話が混在情報の抜け漏れ・誤認識

なぜこうした失敗が起きるのか(構造的原因)

発注側の問題

多くのトラブルは、発注者の内部準備不足から生じます。
特に目的・読者像・記事活用の意図が不明確なまま発注を進めてしまうケースです。
「取材さえすればよい記事ができるだろう」という認識では、方向性の齟齬が生まれやすく、結果的に再取材や大幅な修正につながります。
また、社内の決裁者が後から介入して内容を差し戻すなど、コミュニケーションルートが定まっていないことも原因の一つです。

受託側の問題

制作側でも、ライター・編集・ディレクター間の連携不足が品質低下を招くことがあります。
取材担当が執筆・編集を兼任する小規模体制では、客観的な品質チェックが抜け落ちやすい。
また、社内教育やレビュー体制が確立されていない制作会社では、担当者ごとに成果物のレベルがばらつきます。

外注先選定の失敗

価格だけを基準に外注先を決めるのは典型的な失敗要因です。
「安い」「早い」を優先した結果、実績が乏しい個人に発注してしまい、納品後の修正コストで結局割高になることもあります。
また、得意領域が異なる外注先を選んでしまうと、業界特有の専門用語や文脈を誤って扱うリスクがあります。
選定段階で「どの分野を得意としているか」「過去実績に類似テーマがあるか」を確認せず進めることが、後のトラブルにつながります。

インタビュイー(取材対象者)との事前打ち合わせ不足

もう一つ見落とされがちな要因が、取材対象者(インタビュイー)への事前説明不足です。
発注者と制作側が目的や質問方針を共有していても、取材対象者本人が「何のためのインタビューなのか」を理解していなければ、当日の対話が浅くなります。
事前に目的・掲載範囲・公開先・取材時間などを共有し、NG事項をすり合わせておくことで、取材現場の混乱を防ぐことができます。

失敗を防ぐためのチェックリスト

例)外注前に最低限確認すべき5つのポイント

  • 記事の目的とKPI(採用・PR・SEOなど)
  • 想定読者とトーンの一致
  • 取材対象・テーマ・公開時期の確定
  • 撮影有無・素材提供のルール
  • 修正・校正フロー(責任者、回数、納期)

外注先選定時の抜け漏れチェック

発注段階での情報不足が後のトラブルを生みます。
まず確認すべきは、外注先がどの領域のインタビューを得意としているか、実績をどの程度持っているかです。
特に BtoB・採用・ブランディングなど、目的別に構成の手法が異なるため、経験の有無は成果に直結します。

次に、担当体制と修正対応のルールを必ず確認してください。
「誰が取材し、誰が編集するのか」「修正回数や納品形式の基準」「守秘義務や掲載許諾の扱い」など、契約前に明文化しておくことが重要です。
これらが曖昧なまま依頼を進めると、途中で作業範囲の認識がずれ、追加費用やスケジュール調整が発生します。


発注前に確認すべき項目

発注前に、記事のゴールと要件を文書で整理しておきましょう。
最低限、次の5点は共有しておくことが望まれます。

  1. 記事の目的(採用・導入事例・ブランド認知など)
  2. 想定読者と読後に取ってほしいアクション
  3. 掲載媒体のトーン&マナー(他の記事URLやデザイン例を提示)
  4. 取材回数・所要時間・撮影の有無
  5. 納品形式(Word / Google Docs / CMS直接入力 など)

これらが揃っていれば、外注先も「何を作るべきか」を正確に把握できます。
不明瞭なまま依頼すると、完成後に「思っていたのと違う」と感じる原因になります。


インタビュー本番前の共有事項

取材当日の品質は、事前共有の精度で決まります。
取材対象者の基本情報(役職・経歴・関与プロジェクトなど)はもちろん、取材目的や構成案をあらかじめ共有しておくと、当日の対話が深くなります。
質問リストを事前に確認してもらうことで、対象者側も心構えができ、発言内容に厚みが出ます。

また、取材当日に触れてはいけない話題や、掲載NG事項がある場合は、事前に外注先へ伝えておくことが不可欠です。
特に企業間の事例や共同開発などでは、守秘情報の扱いを明確にしておくことが信頼維持につながります。


品質管理のためのレビュー設計

初稿を受け取ってから最終公開までの工程に、レビューのタイミングを明確に設定しておきましょう。
たとえば「初稿提出 → 編集レビュー → 発注者確認 → 最終納品」という流れを明文化しておくことで、責任の所在がはっきりします。

また、複数記事をシリーズで依頼する場合には、初稿段階でトーンと構成の基準を共有しておくと、全体の統一感が保てます。
一度決めたスタイルガイドをもとに、以後の原稿も同じ基準で確認できる仕組みを作ると、外注体制が安定します。

信頼できる制作パートナーを選ぶポイント

インタビュー記事の外注で失敗を避けるためには、単に「実績がある会社」や「価格が安い会社」を選ぶだけでは不十分です。
重要なのは、発注側の目的を理解し、記事制作のプロセス全体を責任をもって管理できるパートナーを見極めることです。

実績と分野特化性の確認

まず注目すべきは、過去の実績と得意分野です。
BtoBの導入事例や採用インタビュー、経営者ストーリーなど、目的や業界によって取材手法や構成力が求められるレベルは異なります。
過去にどのような業種やテーマでインタビューを行ってきたかを確認し、自社の目的と重なる領域で経験があるかどうかを見極めることが大切です。

特に企業広報や採用広報に関わるインタビューでは、表現のトーンや情報開示範囲の判断を誤るとブランドイメージに影響します。
そうした判断ができる制作会社や編集者は、取材経験だけでなく「企業文脈での編集観点」を持っています。
単なる記事制作ではなく、「広報的な安全性」を担保できるかどうかを確認することがポイントです。

編集・チェック体制の有無

制作の品質を左右するのは、編集チェック体制です。
ライター単独で完結する外注では、誤字脱字や構成上の不整合が残りやすく、媒体基準を満たさないことがあります。
一方で、編集者やディレクターが最終確認を行う体制を持つ制作会社では、品質の安定性が高くなります。

「編集者によるレビュー」「二重チェック」「トーンガイドの共有」など、体制面の情報を開示しているかどうかを確認しましょう。
この点を契約前に明らかにできない制作会社は、後々の品質保証や修正対応でも不透明さを残す可能性があります。

担当者制とコミュニケーションの安定性

取材から納品までの間に担当者が頻繁に変わると、情報共有に齟齬が生まれやすくなります。
担当者が固定であるか、またはプロジェクト管理者が責任をもって全工程を把握しているかを確認することが重要です。

さらに、スケジュールや原稿修正の連絡手段が明確であるかどうかも信頼性の指標となります。
SlackやChatworkなどのビジネスチャットを利用して迅速にフィードバックを行う体制を整えている会社は、発注側の負担を軽減できます。

価格ではなく「体制と再現性」で判断する

価格の安さを基準に外注先を選ぶと、短期的にはコストを抑えられても、品質面の再現性を失うリスクがあります。
良質な制作パートナーは、明確な制作プロセス・チェックフロー・修正ポリシーを持っており、それに見合うコストが設定されています。
見積書を見る際は、「金額の内訳」に注目しましょう。
単に“ライティング費”としてまとめられている場合よりも、「取材・編集・校正・構成」などの工程が分かれて記載されている方が、品質保証が行われている証拠です。

例)外注先選定の比較視点(制作会社 vs 個人ライター)

観点制作会社個人ライター
品質チェック体制編集者・校正者が複層チェック担当者個人に依存
納期安定性チーム制でバックアップ可体調・予定で遅延リスクあり
コミュニケーション担当者制+管理ツール利用メール中心で属人化しやすい
費用感中〜高価格帯(品質保証込み)低価格だが再現性に差

失敗を防ぐ外注フロー例(STSデジタルの場合)

ここでは、インタビュー記事制作における失敗を防ぐために、STSデジタルが実際に採用しているワークフローを紹介します。

例)STSデジタルの制作フロー概要

工程内容主な失敗防止ポイント
① 企画ヒアリング目的・読者像・媒体確認認識のズレ防止
② 取材設計質問リスト・テーマ設計深掘り不足防止
③ 取材実施録音・記録管理発言誤り・情報漏れ防止
④ 編集・ライティング初稿→編集→発注側確認品質・トーン統一
⑤ 最終校正・納品二重チェック・最終承認表記・数値ミス防止
⑥ 公開後分析反響・アクセス検証改善ループ構築


各工程には、トラブルを未然に防ぐための仕組みを明確に組み込んでいます。
「なぜ安心して任せられるのか」を具体的なプロセスで確認していきましょう。

1. 企画ヒアリングと要件定義

まず最初に行うのは、発注側との目的共有です。
取材の背景、記事の活用目的、想定読者、媒体トーン、掲載スケジュールなどをヒアリングし、文書化します。
ここで双方の認識を一致させることで、「方向性のズレ」や「仕上がりのミスマッチ」を防ぎます。
ヒアリング内容はそのまま進行用のブリーフ(仕様書)として保存し、制作チーム全員が共有します。

2. 取材設計と質問リスト作成

目的が定まった段階で、取材対象者・テーマ・想定ストーリーをもとに質問リストを作成します。
この質問リストは、取材前に発注側および取材対象者の双方に共有され、確認を経たうえで本番に臨みます。
こうした事前確認により、インタビュー中の混乱や言葉の取り違えを防ぎ、深い内容を引き出すことが可能になります。
また、NGトピックや強調したいメッセージも事前に反映させるため、取材当日の進行がスムーズになります。

3. 取材実施と記録管理

取材は、経験豊富なインタビュアーが担当します。
取材内容は録音・録画し、文字起こしデータをクラウド上で管理。
この工程により、発言の正確性を担保すると同時に、発注側が内容確認を行うことも可能です。
また、取材後すぐに内容整理を行い、要点・印象・引用箇所を記録として残します。
取材記録が明確に残ることで、後から修正要望が出た際も根拠を持って対応できます。

4. 編集・ライティング

取材内容をもとに、専任ライターが初稿を作成します。
初稿完成後は、社内編集者が構成・文体・トーンの整合性をチェック。
その後、発注側に初稿を共有し、確認・修正依頼を受け付けます。
この段階で「方向性がズレていないか」「メッセージが正しく伝わっているか」を再確認し、最終稿に反映します。

チェック体制を複層化することで、担当者個人に依存しない品質を確保しています。

5. 最終校正と納品

最終稿は、別の編集担当が再校を行い、誤字脱字・表記ゆれ・ファクト確認を徹底します。
クライアントの社名表記や肩書き、データ数値など、公開前の最終確認を丁寧に実施。
必要に応じて、発注側に最終確認用PDFを共有し、承認を得てから納品します。
このプロセスにより、掲載後の訂正リスクを極小化できます。

6. 公開後のフィードバックと改善

納品後も、記事公開時の反響やアクセス状況を分析し、改善提案を行います。
公開後の反応を可視化することで、「どの構成が読まれているか」「どの訴求が響いたか」を把握でき、次回以降の取材設計に反映できます。
単発依頼ではなく、長期的なパートナーとして信頼を築くことを目的としています。


まとめ

インタビュー記事の外注で起きる失敗の多くは、「目的の不明確さ」と「体制の不透明さ」から生まれます。
発注時に十分な情報共有と選定基準を整え、信頼できる体制を持つパートナーに依頼することで、ほとんどのトラブルは防止できます。

STSデジタルでは、企画から取材、編集、納品、そして公開後の検証までを一貫して行うことで、品質と再現性の高い記事制作を実現しています。
インタビュー外注で失敗したくないと感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
制作目的に応じた最適な体制をご提案いたします。

目次