「ランディングページ(LP)を作りたいが、何から始めればいいかわからない」 「とりあえず競合の真似をしてLPを作ってみたが、全くコンバージョン(CV)につながらない」
このような悩みを抱えているWeb担当者は少なくありません。LP制作において最も多い失敗は、戦略や企画を飛ばして、いきなりデザインから着手してしまうことです。
本記事では、数多くの成果改善に携わってきたプロの視点から、成果を出すための正しいLP制作フローを6つのステップで解説します。また、自社制作(インハウス)と外注の判断基準や、具体的なツールの選び方についても触れています。
※LPの基礎知識やメリットについて復習したい方は、以下の記事を先にご覧ください。

成果を生むLP制作の6ステップ【フローチャート】
成果が出るLPを作るためには、デザイン作業に入る前の「段取り」が8割を占めます。以下の手順に沿って進めることで、手戻りを防ぎ、ユーザーに刺さるLPを構築できます。
STEP1:【分析】ターゲットと市場ポジションの把握
まずは「誰に」「何を」売るのかを明確にするための情報整理を行います。
- 3C分析 市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点で分析します。特に「競合他社のLPがどのような訴求をしているか」を調査し、彼らが満たせていないニーズや、自社が勝てるポイント(差別化要素)を探ります。
- ペルソナ設定 ターゲット像を具体化します。年齢や性別だけでなく、「どんな悩みを抱えているか」「解決した後にどうなりたいか」「普段どんな情報を参考にしているか」といった心理面(インサイト)まで深く掘り下げます。
- USP(独自の強み)の抽出 競合にはなく、ターゲットが求めている自社だけの強みを言語化します。これがLPのメインメッセージの核となります。
STEP2:【企画】コンセプトとオファーの設計
分析結果を元に、LPの骨子となる「企画」を立てます。このフェーズがLPの成否を分ける最も重要な工程です。
- 訴求軸(コンセプト)の決定 同じ商品でも、ターゲットによって刺さる切り口は異なります。例えば化粧品なら、「時短ケア」で売るのか、「エイジングケア」で売るのか。ペルソナにとって最も魅力的で、競合と差別化できる切り口を決定します。
- オファー(特典)の設計 ユーザーに「今すぐ申し込む理由」を作ります。初回限定価格、送料無料、資料プレゼント、無料診断など、CVR(コンバージョン率)を最大化させるためのオファーを設計します。
- 流入経路との整合性 このLPにはどこからアクセスが来るのか(検索広告、SNS広告、メルマガなど)を想定し、広告のクリエイティブ(画像・文言)とLPのファーストビューに違和感がないよう、整合性を図ります。
STEP3:【構成】売れる型に沿ったワイヤーフレーム作成
企画が固まったら、それを論理的なストーリーとして構成案(ワイヤーフレーム)に落とし込みます。
LPの構成を作る際、商材の特性によって最適な「型(フレームワーク)」は異なります。代表的な3つのフレームワークと、それぞれの向き不向きを整理しました。
【保存版】LP構成フレームワークの選び方・比較表
| フレームワーク | 流れ(構造) | 特徴 | 向いている商材・ターゲット | 注意点 |
| PASONA(パソナ)の法則 | Problem(問題提起) Agitation(煽り・共感) Solution(解決策) Narrow down(絞り込み) Action(行動) | ユーザーの「悩み・不安」に寄り添い、解決策として商品を提示する王道パターン。ストーリー性が高く、深く共感を得られる。 | 【コンプレックス・課題解決型】 ダイエット、美容整形、借金相談、BtoBの業務効率化ツールなど、「マイナスをゼロ(プラス)にしたい」商材。 | 煽りすぎると不快感を与えたり、ブランド毀損につながるリスクがあるため、現代では「Agitation」を「共感・理解」と捉えるのが主流。 |
| BEAF(ビーフ)の法則 | Benefit(得られる未来) Evidence(証拠) Advantage(優位性) Feature(特徴) | 結論(メリット)を最初に見せ、その根拠を論理的に畳み掛けるスタイル。信頼性と納得感を重視する構成。 | 【指名買い・機能重視型】 EC通販(コスメ・家電)、SaaS、知名度のある商品など、「他社と比較検討されている」商材。 | 悩みが深いユーザーに対しては、共感部分が少ないため事務的な印象になり、離脱される可能性がある。 |
| QUEST(クエスト)の法則 | Qualify(宣言・絞り込み) Understand(共感) Educate(教育) Stimulate(興奮・欲求) Transition(行動) | ターゲットを絞り込み、教育(啓蒙)しながら購買意欲を高める手法。PASONAに近いが、より「教育的」な側面が強い。 | 【無形商材・高単価・教育型】 情報商材、スクール・講座、コンサルティング、新しい概念のサービスなど、「価値の説明が必要」な商材。 | 教育要素が強いため文章が長くなりやすく、即効性を求めるユーザー(今すぐ客)にはまどろっこしい場合がある。 |
選び方のヒント
- ユーザーが自分の悩みに気づいている(顕在層)ならBEAFで解決策を即提示。
- ユーザーが悩みの深さに気づいていない、または解決を諦めているならPASONAで問題意識を掘り起こす。
ベースコピーライティング デザインを入れる前に、キャッチコピーや見出し、本文のライティングを行います。デザインに合わせて文字を調整するのではなく、「伝えたいメッセージ」に合わせてデザインを作ることが鉄則です。
具体的な構成、テンプレートの具体的なご紹介は以下の記事にまとまっています。

STEP4:【デザイン】視覚的な説得力を高める
LPのデザインは「美しさ」よりも「機能性(売れるかどうか)」が最優先されます。一般的なWebサイト制作とは異なる、LP特有のデザインの鉄則を網羅しました。
プロが実践する「売れるLPデザイン」7つの鉄則
1. 視線誘導(Zの法則・Fの法則)を意識する
ユーザーは無意識に、左上から右下へ(Z型)、あるいは上から下へ(F型)視線を動かします。この視線の流れを断ち切らないよう、重要な画像や文字、次のセクションへのつなぎ目を配置します。 例えば、人物の画像の「目線」や「指差す方向」にCTAボタンを置くことで、自然とユーザーの視線をボタンへ誘導できます。
2. 「3秒ルール」をクリアするファーストビュー(FV)
FVはLPの顔であり、ここで離脱されると下部は一切読まれません。以下の要素を詰め込みすぎず、直感的に配置します。
- ベネフィットが一目でわかるキャッチコピー(左側に配置するのが定石)。
- 商品や結果をイメージさせる高品質なメイン画像。
- 権威性を示す「No.1バッジ」や「メディア掲載実績」。
- アクションを促すCTAボタン(FV内に必ず1つ設置)。
※具体的なファーストビューのつくり方については以下の記事で紹介しています。

3. リズムを生む「可読性」のコントロール
LPは縦に長いため、単調なレイアウトや文字の羅列は離脱の最大の原因になります。
- フォントサイズに極端なジャンプ率(メリハリ)をつける。
- テキストだけのセクションと、画像メインのセクションを交互に配置する。
- 背景色をセクションごとに切り替え(白→薄いグレー→白など)、読み手の気分を変える。
4. 信頼性を可視化する「権威性」のデザイン
「お客様の声」や「実績データ」は、ただテキストで置くだけでは読まれません。
- 手書きアンケート画像:スキャンしてそのまま載せることでリアリティを出す。
- グラフデザイン:数値の部分を大きく、上昇曲線を強調した色使いにする。
- 専門家の顔写真:丸枠などで清潔感を出し、実在する人物であることを強調する。
5. CTAボタンは「異物感」を出す
CTA(申し込みボタン)は、ページ内で最も目立つ存在でなければなりません。
- デザインのトンマナからあえて外した「補色(反対色)」を使う(例:青ベースのLPならオレンジのボタン)。
- ボタンに立体感(ドロップシャドウ)や動き(光るアニメーション)をつけ、クリックできる要素(UI)だと認識させる。
- ボタン周りに「マイクロコピー(無料・1分で完了など)」を添えて心理的ハードルを下げる。
CTAボタンの具体的な作成方法については以下にご紹介しています。

6. モバイルファースト(スマホ最適化)の徹底
BtoC商材の場合、PCデザインをただ縮小しただけのスマホLPは成果が出ません。
- フォントサイズ:スマホで読める最小サイズ(14〜16px以上)を守る。
- タップ領域:指で押しやすいボタンサイズ(高さ44px以上)を確保する。
- 画像の縦横比:PC用の横長画像をスマホでそのまま使うと小さすぎるため、スマホ用に縦長(正方形に近い比率)で作り直す。
7. フォーム一体型のデザイン(EFO観点)
LPの下部にフォームを埋め込む場合、フォーム部分のデザインも重要です。
- 入力必須項目と任意項目を明確に色分けする。
- 今の入力ステップがどこかわかる進捗バーを設置する。
- キーボードの最適化(電話番号の欄では数字キーパッドを出す設定など)。
STEP5:【実装】コーディングとテクニカル要件
デザインが確定したら、Webブラウザで見られるようにコーディング(HTML/CSS/JavaScript)を行います。
- スマホレスポンシブ対応 BtoC商材の場合、アクセスの8割以上がスマートフォンであることも珍しくありません。スマホでの閲覧性・操作性を最優先に構築します。
- タグ設計と表示速度 公開後の分析に必要な計測タグ(Googleアナリティクス、広告タグ、ヒートマップタグなど)を設置します。また、画像の軽量化などを行い、ページの表示速度を高速化させます。
STEP6:【確認】テストと公開
最後に、お問い合わせフォームが正しく動作するか、サンクスページへ遷移するか、崩れがないかなどをPCとスマホの実機で確認し、本番公開となります。
ここで差がつく!LP作成 3つの重要ポイント
制作フローの中で、特に「売れるLP」にするための重要なポイントを3つ紹介します。
1. 「機能」ではなく「ベネフィット」を語る
コピーライティングの鉄則です。ユーザーは商品のスペック(機能)ではなく、その商品を使ったことで得られる「良い未来(ベネフィット)」にお金を払います。 「最新成分◯◯を配合」ではなく、「翌朝、鏡を見るのが楽しみになるハリツヤ肌へ」と伝える意識を持ちましょう。
2. ファーストビュー(FV)を徹底的に作り込む
アクセスしたユーザーの約70%以上が、最初の画面(ファーストビュー)だけを見て離脱すると言われています。 「キャッチコピー」「メインビジュアル」「CTAボタン」の3要素で、3秒以内に「自分に関係がある」「メリットがある」と瞬時に理解させるビジュアル作りが必須です。
ファーストビューの具体的な作成方法については以下の記事でご紹介しています。

3. クリックしたくなるCTA設計
申し込みボタン(CTA)のデザインもCVRを左右します。
- マイクロコピーを入れる:「簡単1分で完了」「無料」などハードルを下げる文言をボタンの近くに配置する。
- 色と動き:ページのメインカラーの「補色」を使って目立たせ、マウスオーバー時に動きをつけるなど、クリック可能であることを直感的に伝えます。
LPのCTAの具体的な作成方法は以下の記事でご紹介しています。

どっちが正解?「自作(インハウス)」vs「外注」の判断基準
LP制作を自社で行うか、プロに任せるか。その判断を誤ると、「時間をかけたのに完成しなかった」「高いお金を払ったのに成果が出なかった」という事態になりかねません。
以下の比較表で、自社の「予算・リソース・目的」と照らし合わせてみてください。
自作(インハウス)vs 外注(制作会社)比較表
| 判断項目 | 自作(ノーコードツール等) | 外注(制作会社・プロ) |
| 費用(コスト) | [低] 数千円〜数万円 (ツール利用料・人件費のみ) | [高] 30万円〜100万円以上 (品質と依頼範囲による) |
| 制作期間 | [短] 1日〜1週間 (即日公開も可能) | [長] 1ヶ月〜2ヶ月 (戦略設計・確認フロー含む) |
| デザイン品質 | [並] テンプレート依存 (誰が作っても似たデザインになりがち) | [高] 完全オリジナル (ブランドイメージや商材に最適化) |
| 自由度・拡張性 | [低] ツールの制限内でのみ可能 (複雑な動きや計測は不可の場合も) | [高] 制限なし (アニメーション、複雑なフォーム連携も可) |
| マーケティング戦略 | 自社のノウハウに依存 (客観的な視点が抜けやすい) | プロの知見を活用 (競合調査に基づいた勝てる構成を提案) |
| 社内工数 | [大] 担当者が実作業を行う (ライティング、画像作成、設定) | [小] 確認・フィードバックが主 (実作業はすべて任せられる) |
| 向いているケース | ・テストマーケティング ・予算が全くない ・社内にデザイナーがいる ・とにかく明日公開したい | ・本気で売上を作りたい ・リブランディング ・広告予算を月30万円以上使う ・社内にノウハウがない |
【簡易診断】あなたはどっち? 制作手法チェックリスト
表を見ても迷う場合は、以下の質問に答えてみてください。
Q1. LP制作にかけられる予算は「30万円以上」ありますか?
- はい → Q2へ
- いいえ → 【自作推奨】まずはペライチやWixなどでコストを抑えてスタートしましょう。
Q2. 社内に「売れる文章を書ける人」と「デザインができる人」はいますか?
- はい → 【自作推奨】社内リソースを活用し、WordPressなどで内製化するのが最もコスパが良いです。
- いいえ → Q3へ
Q3. 今回のLPの目的は「テスト」ですか?それとも「勝負」ですか?
- テスト(市場の反応を見たい) → 【自作推奨】まずは60点のできで良いので、スピード重視で公開してみましょう。
- 勝負(確実にCVを獲得したい) → 【外注推奨】ここが分岐点です。広告費をかけて集客するなら、受け皿となるLPが素人作りでは穴の空いたバケツになります。プロに依頼して「売れる器」を作りましょう。
プロからのアドバイス:ハイブリッドな進め方
必ずしも「0か100か」で決める必要はありません。以下のような使い分けも効果的です。
- フェーズ1(立ち上げ): 外注でしっかりと「勝ちパターン」のLPを作る。
- フェーズ2(運用・展開): 外注したLPの素材や構成を参考に、別パターンのLPをツールを使って社内で量産(自作)する。
最初にプロのクオリティで基準を作っておくことで、その後のインハウス運用の質も引き上げることができます。
自作(インハウス)する場合のやり方と注意点
予算をかけられない場合や、スピード重視でテストを行いたい場合に適しています。
- CMS(WordPressなど)で作成する 世界中で使われているCMSです。プラグインが豊富でSEO設定もしやすいですが、本格的なカスタマイズにはHTML/CSSの知識が必要です。セキュリティ管理も自社で行う必要があります。
- ローコード/ノーコードツールで作成する ペライチ、Studio、Wixなどのツールを使用します。サーバー契約不要で、直感的な操作でLPが作れるため初心者におすすめです。 注意点として、デザインの自由度に限界があることや、独自の計測タグが設置できないケースがあるなど、拡張性に制限があることを理解しておきましょう。
外注(制作代行)する場合のやり方と注意点
確実に成果を出したい場合や、社内に専門スキルを持つスタッフがいない場合に適しています。外注先を選ぶ際は、依頼範囲によって選び方が変わります。
- 構成(企画)から依頼する場合 成果を出したいなら、このパターンが最も推奨されます。「マーケティング視点」を持っている制作会社を選びましょう。単に言われた通りに作るのではなく、ターゲット選定や訴求軸の提案から伴走してくれるパートナーを選ぶことが成功の鍵です。
- デザインから依頼する場合 自社にマーケティング担当者がおり、精度の高いワイヤーフレームや原稿まで用意できるなら、デザイン制作に特化した会社やフリーランスに依頼することでコストを抑えられます。
※LP制作を外注する場合の費用相場については、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ:LP制作は「企画」が命
LP制作は、単に綺麗なWebページを作ることではありません。「誰に・何を・どうオファーして行動させるか」というマーケティング戦略そのものです。
自作するにしても外注するにしても、まずは「企画」と「構成」に時間をかけることが、遠回りのようで最短の成功ルートです。
「自社に最適な企画や構成がわからない」「戦略設計からプロに任せて、確実に成果を出したい」とお考えの方は、ぜひ当社のLP制作サービスをご検討ください。マーケティングのプロが、御社の売上アップに貢献するLPをご提案いたします。
