インタビュー記事の印象は、文章だけでなく 「写真の質」や「撮影演出」 に大きく左右されます。
特に採用広報やブランド発信では、表情や空気感までを伝えるビジュアルが不可欠です。
しかし実際には、「取材は順調だったが写真の使い勝手が悪い」「外注先が別で連携がうまくいかなかった」といった課題も多く見られます。
そこで本稿では、インタビューと撮影を一体で外注する際の進め方・費用感・依頼チェックリストを実務的に解説します。
なぜ撮影と取材を一括で依頼すべきか

インタビューと撮影を別々に発注すると、目的やトーンのズレが生じやすくなります。
一体発注には次のような利点があります。
一体外注の主なメリット
- 撮影と取材の意図が統一され、記事全体のトーンが揃う
- 取材現場の流れを止めず、自然な表情を撮影できる
- 撮影素材の使用範囲(記事/SNS/採用LPなど)を一括で調整できる
- 撮影・原稿納品スケジュールを一本化できる
このように、制作進行・品質・コストの三面で効率化が図れます。
撮影込みインタビューの一般的なフロー
インタビュー+撮影の外注は、取材当日の段取り設計が最も重要です。
下表は、実務上よく採用される進行例です。
| フェーズ | 作業内容 | 担当 | 目安時間 |
|---|---|---|---|
| ① 事前打ち合わせ | 目的・構成・カットイメージ共有 | 発注側+制作会社 | 30〜60分 |
| ② 質問リスト・撮影指示書作成 | 質問内容と必要カットを整理 | 編集・カメラマン | 1〜2日 |
| ③ 取材・撮影実施 | インタビュー+ポートレート撮影 | インタビュアー+撮影者 | 1〜2時間 |
| ④ 編集・レタッチ | 写真選定・補正・原稿編集 | 編集・デザイナー | 3〜5日 |
| ⑤ 納品・最終確認 | 原稿+写真セット納品 | 制作会社/発注者 | 1〜2日 |
このフローを1本化することで、修正や差し戻しが起きにくくなり、社内確認もスムーズになります。
撮影構成の設計ポイント
撮影を伴うインタビューでは、「どんなカットを使うか」をあらかじめ決めておくと、無駄撮影を防げます。
構成別おすすめカット例
| 記事タイプ | 主なカット内容 | トーン演出 |
|---|---|---|
| 採用インタビュー | バストアップ、業務中ショット、チーム集合 | 自然体・温かみ |
| 導入事例インタビュー | 製品利用シーン、商談風景、資料・端末操作 | プロフェッショナル・信頼感 |
| ブランドインタビュー | 経営者ポートレート、オフィス・ロゴ背景 | 品格・誠実さ |
| 教育・医療・公共系 | 指導風景・設備・取材対象者との会話 | クリーン・公的信頼 |
補足ポイント
- カットのトーン(明るめ/モノトーン/背景有無)は事前に決める
- 被写体の表情例(真顔・笑顔・対話中など)を参考画像で共有
- 掲載先メディアの比率(横長/縦長)も事前指定
費用の目安と内訳
撮影込みのインタビュー制作は、単純なライティング案件よりも工程が多くなります。
以下の表は一般的な費用レンジです(1回取材+撮影込みの場合)。
| 項目 | 内容 | 費用目安(税抜) |
|---|---|---|
| 取材・構成・執筆 | インタビュアー+ライター | 50,000〜80,000円 |
| 撮影(写真) | カメラマン+レタッチ | 30,000〜60,000円 |
| 編集・校正 | 構成調整・表現統一 | 10,000〜20,000円 |
| 合計 | 一式対応(取材2h+編集+写真納品) | 90,000〜150,000円程度 |
費用を抑えたい場合は、「社内撮影+原稿外注」や「既存素材流用」も選択肢ですが、トーンの統一性はやや下がります。

依頼時に確認すべきチェックリスト
発注前に、撮影を含む外注先へ次の項目を確認しておくと安全です。
撮影+インタビュー依頼チェック項目
- 撮影者と取材担当が同席できる体制か
- 撮影カットリスト・使用範囲を明示したか
- 写真の著作権・二次利用条件を確認したか
- 納品形式(JPEG/RAW/トリミング済など)を指定したか
- 撮影当日のバックアップ日(雨天・延期対応)を決めたか
このチェックを行っておけば、現場の混乱や素材欠損のリスクを大幅に減らせます。
撮影付きインタビューの発注先を選ぶポイント
| 比較軸 | 制作会社 | 個人ライター+カメラマン組 |
|---|---|---|
| 体制 | ディレクター・撮影・編集が社内で連携 | 外注連携(案件ごとに変動) |
| スケジュール調整 | 一括管理で調整しやすい | 個別調整が必要 |
| 品質 | チェック体制が明確 | 個人の力量に依存 |
| コスト | やや高め(10〜15万円〜) | 低め(6〜10万円〜) |
| 向いている案件 | 企業・ブランド系 | 小規模・個人取材系 |
まとめ
撮影と取材を別々に進めると、情報共有やスケジュール管理の負担が増え、品質差も出やすくなります。
一体外注であれば、記事のストーリーと写真の世界観を統一でき、発注者の負担も軽減されます。
「構成+撮影+編集+納品」までを一括で任せられる体制を整えることが、安定したクオリティを保つ鍵です。
初回発注時は、見積もり内訳・撮影体制・利用条件を必ず確認し、次回以降のテンプレート化を進めていくとよいでしょう。
