株式会社STSデジタル

導入事例インタビューのコツ|成果を引き出す質問設計と進行のポイント

インタビュー記事 コツ

導入事例は「顧客の声」で信頼を築く最強の営業コンテンツです。
しかし、その価値を最大化するには、取材・インタビューの質がすべてを決めます。

この記事では、SaaSやBtoB事業で導入事例を制作する際に、
「どんな質問をすれば本音を引き出せるか?」「現場の声をどうストーリー化するか?」を、実践的な視点で解説します。


導入事例インタビューの目的を整理する

まず、インタビューは単なる“取材”ではなく、
成果の裏にある「課題・決断・変化」の物語を掘り下げるためのプロセスです。

🎯 インタビューの3つの目的

目的内容
① 信頼を得る顧客と関係構築し、安心して話してもらう
② 成果の裏付けを得る定量的な数値や実際のエピソードを収集
③ ストーリーを掘り出す感情や背景を通して「読ませる導入事例」にする

💡 成果データだけでなく、「導入の決め手」や「現場の変化」を引き出すことが、読者の共感を生みます。


インタビュー準備:成功の8割は事前段階で決まる

1. 目的・読者像・ストーリー仮説を明確にする

取材前に「この事例で何を伝えたいか」をチーム内で統一しておきましょう。

項目具体例
目的営業資料用 or オウンドメディア掲載用
読者同業種のマーケ担当者・情シス担当者など
仮説「○○機能の導入で業務工数が50%削減」など

2. 顧客との調整・合意形成

  • 取材主旨・掲載目的を明確に伝える
     例:「他社の導入検討者に貴社の成功事例を紹介する目的です」
  • 公開範囲を事前確認(社名・顔出し・写真・数値など)
  • 所要時間の共有(30〜45分が目安)
  • 取材前に質問リストを共有し、安心感を与える

3. 質問シナリオを用意する

インタビューの流れは、「課題 → 導入理由 → 成果 → 感想 → 今後」の構成が基本です。

フェーズ目的代表的な質問例
導入前の課題現状把握「導入前に抱えていた課題は何でしたか?」
導入の決め手意思決定理由「他社と比較した際の決め手は?」
導入プロセスストーリー化「どのように社内に定着させましたか?」
成果変化の定量化「どんな効果・成果がありましたか?数字で表せますか?」
今後の展望前向きな締め「今後どのように活用を広げたいですか?」

🧭 コツ:質問は「どうでしたか?」ではなく「なぜそうなったのか?」と掘り下げること。
顧客が“考えながら話す”ことで、真のストーリーが浮かび上がります。


インタビュー本番の進め方

1. 冒頭の3分で空気をつくる

  • 雑談や導入部分で緊張をほぐす(例:「最近どんな案件が多いですか?」)
  • 取材の流れと目的を改めて共有
  • レコーダー使用時は必ず事前に了承を得る

2. 聴く姿勢とリアクション

  • 相手の言葉をオウム返しする:「なるほど、そこが大変だったんですね」
  • メモを取りながらも、目線は相手に。信頼感が全然違います。
  • 話が広がりそうな部分は、「もう少し詳しく教えてください」と促す。

3. 数値とエピソードを両方引き出す

  • 「どのくらい変わりましたか?」(定量)
  • 「現場ではどんな声が上がりましたか?」(定性)
    → 両方あると、記事が“体験として読める”ものになります。

よい導入事例にするための質問テンプレート(業界別例)

業界成果の軸聞くべき質問例
SaaS・IT業務効率/売上「導入後の工数削減や売上インパクトは?」
製造品質/スピード「どの工程で最も改善効果が出ましたか?」
教育満足度/導入率「教職員や学生の反応はいかがでしたか?」
人事・採用工数/応募数「採用業務がどれくらい短縮されましたか?」

インタビュー後のまとめと確認

1. 要約メモの整理

  • 課題 → 解決策 → 成果 → コメントを4行でまとめる
  • 数字・固有名詞は正確に記録
  • 「引用に使えそうな一言」を★マークでメモ

2. 顧客への確認・承認

  • 初稿提出前に「要約確認」だけ共有するとスムーズ
  • 写真やコメント使用は改めて了承を得る
  • 変更・削除の希望は丁寧に調整する

⚠️ ありがちな失敗:「原稿提出まで放置」
→ 取材後すぐに要約共有すると信頼感が生まれます。


よくある失敗とその回避法

失敗例原因対策
数字が出てこない事前共有不足質問票に「成果データ」項目を入れる
会話が浅い掘り下げ質問が少ない「なぜ」「具体的に」「どう変わったか」で深掘り
顧客が防御的目的共有不足取材の意図とメリットを冒頭で説明
原稿チェックが長引く修正範囲が曖昧承認範囲を事前に明示しておく

取材現場で使えるリアル質問例(プロが使う言い回し)

目的質問例
問題提起「一番ストレスを感じていた業務はどんな点でしたか?」
決断の背景「最終的な決め手になったのは何ですか?」
現場の変化「現場の反応を見て、一番印象的だった瞬間は?」
成果の実感「もし導入前の状態に戻ったら、どんな不便がありそうですか?」
今後の展望「今後、さらに活用を広げたい部署などはありますか?」

🎤 プロの取材者は「Why」と「具体例」を3回繰り返して深掘ります。
一見シンプルでも、そこから“ストーリーの芯”が見えてきます。


まとめ:導入事例の価値は「聞き出し力」で決まる

導入事例は、取材の深さがそのまま記事の厚みになります。
よい事例ほど、質問の質が高く、相手が“話したくなる空気”が作られています。

✅ 成功する導入事例インタビューの3原則

  1. 準備を徹底し、目的と読者を明確にする
  2. 数字とエピソードの両輪で成果を描く
  3. 顧客を主役に、誠実な編集で信頼を残す