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【完全版】成果が出る導入事例の作り方|必須インタビュー項目と営業活用・構成のポイント

【完全版】 成果が出る導入事例の作り方 必須インタビュー項目と営業活用・構成のポイント

「導入事例を作りたいが、何をどう聞けばいいかわからない」 「記事を公開したものの、営業現場であまり活用されていない気がする」

多くのBtoB企業が抱えるこの悩み。原因の多くは、戦略なしに「とりあえず仲の良い顧客に話を聞く」だけで終わらせてしまっていることにあります。それでは単なる「感想文」になってしまい、稟議を通すための材料にはなりません。

導入事例の最大の目的は、読者(未来の顧客)に対する「費用対効果(ROI)」の証明です。

この記事では、成果が出る事例の「企画・構成」から、本音を引き出す「インタビュー項目(質問リスト)」、そして作った事例を商談で使い倒す「活用法」まで、プロの制作フローを完全解説します。

目次

導入事例のゴールは「費用対効果(ROI)」の証明

具体的な作り方に入る前に、まず「何のために作るのか」を再定義しましょう。

BtoB商材、特に高単価なサービスの場合、担当者が導入事例を読む最大の理由は「感動したいから」ではありません。「自社が投資して元が取れるか(損しないか)」を確認するためです。

つまり、成果が出る導入事例とは、読者が社内稟議にかける際の「経済合理性の証明書」でなければなりません。ここがブレると、どんなに良い文章を書いてもCV(問い合わせ・受注)には繋がらないのです。

【企画編】Step1:証明したい「成果(ROI)パターン」を決める

いきなりアポを取るのではなく、まず「この事例で何を証明したいのか」を決めます。 ROIの証明には、大きく分けて「攻め」と「守り」の2つの方向性があります。

【図解】攻めと守りのROI

パターンA:成果の最大化(攻めのROI)

  • 狙い:売り上げやアポ数などを増やすことで、投資対効果を良くする。
  • キーワード:売上アップ、リード獲得増、成約率改善、新規事業の成功。
  • ターゲット:経営層、営業・マーケティング責任者(トップラインを伸ばしたい人)。

パターンB:コストの最小化(守りのROI)

  • 狙い:費用や人的コストを減らすことで、投資対効果を良くする。
  • キーワード:残業削減、採用コスト抑制、ミス・事故のゼロ化、属人化の解消。
  • ターゲット:管理部門、現場マネージャー(効率化ミッションを持つ人)。

「今回は『攻めのROI』を証明するために、A社に取材しよう」と決めることで、聞くべき相手も質問内容も自動的に定まります。

【人選編】Step2:成果パターンに合わせた「キャスティング」

狙うROIパターンが決まったら、それを最も説得力を持って語れる人物(取材対象者)を選定します。

訴求軸×人選のマトリクス

訴求パターン最適な対象者理由・狙い
攻め(売上・成長)経営層・役員経営インパクトや投資回収の視座が必要
守り(効率・現場)現場マネージャー現場のリアルな苦労と変化(Before/After)が必要
信頼(安心・保守)情シス・責任者セキュリティやサポート体制への評価が必要

「攻め(売上)」を証明したいなら

  • 推奨対象者:経営者、役員、事業部長
  • 理由:「事業成長にどう寄与したか」「投資回収できたか」という高い視座でのコメントが必要だからです。現場担当者だけだと「使いやすかった」という話に終始しがちです。

「守り(コスト)」を証明したいなら

  • 推奨対象者:現場責任者、実務担当者
  • 理由:「導入前はいかに大変だったか(泥臭い苦労)」と「今はどれだけ楽か」のギャップをリアルに語れるのは、現場の人だけだからです。

★プロの視点: 最高の布陣は「決裁者(数字)」と「現場(実務)」の2名同席取材です。ROIと使い勝手の両方を担保できるため、最強の営業資料になります。

【取材編】Step3:本音と成果を引き出す「魔法のインタビュー項目」

ここが事例制作の核となる部分です。 単に「良かった点」を聞くだけでなく、「数値」と「潜在価値」を引き出すための2段階の質問法を紹介します。

フェーズ1:数字を引き出す(必須インタビュー項目)

「良かった」「楽になった」という定性的な言葉だけでは、稟議書には書けません。しつこいくらいに「数字」を聞き出すのがポイントです。

  1. 導入前の課題(Beforeの数値化):
    • 「その業務に、以前は誰が『何時間』かかっていましたか?」
    • 「月に『何件』のミス(機会損失)が発生していましたか?」
    • ※Beforeの数字がないと、Afterの凄さが伝わりません。
  2. 比較検討のリアル:
    • 「最終的に、競合他社ではなく弊社を選んだ決め手は何でしたか?」
    • 「導入にあたって、社内で反対意見は出ませんでしたか? どうやって説得しましたか?」
    • ※これがそのまま、読者が社内稟議を通すヒントになります。
  3. 導入後の変化(Afterの数値化):
    • 「導入後、売上やコストは『何%』変化しましたか?」
    • 「残業時間は『月何時間』減りましたか?」
    • ※正確な数字が出せない場合でも、「体感で半分くらいになった」といった証言を取ることが重要です。

フェーズ2:潜在価値の発掘(独自性を出す質問)

顧客自身も意識していない「隠れたメリット」や「意外な活用法」を見つける質問です。ここが事例の「独自性」になります。

  1. 想定外の効果:
    • 「実際に使ってみて、導入前には想定していなかった『意外な効果』はありましたか?」
    • (例:「業務効率化のために入れたが、実は若手社員の離職率低下にも役立っていた」など)
  2. 周囲の反応:
    • 「メインの担当者様以外(現場スタッフや他部署)からは、どんな反応がありましたか?」
  3. 損失の想像(究極の質問):
    • 「もし今、このサービスが突然なくなったら、明日からどんな困りごとが起きますか?」
    • (この質問をすると、建前ではない「本音の必要性」が語られます)

【信頼性担保】写真と被リンクで「本物」を証明する

テキストの内容と同じくらい重要なのが、「それが嘘ではない」と証明する要素です。

1. リアルな写真を入れる

フリー素材のオフィス写真は絶対にNGです。 「担当者の笑顔」「実際にツールを使っているPC画面」「オフィスの外観」など、現地で撮影したリアルな写真があるだけで、記事の信頼性は跳ね上がります。 読者は無意識に「実在する人物が、本当に満足しているんだな」と判断するからです。

2. 被リンクを依頼する(SEO効果)

記事を公開したら、取材先の企業のWebサイト(お知らせ欄など)から、事例記事へのリンクを張ってもらえないか依頼しましょう。 「御社の紹介記事を公開しました」という文脈であれば、快諾してもらえるケースが多いです。 信頼性の高い企業サイトからの被リンクは、自社サイトのドメインパワーを上げ、SEO順位を押し上げる強力な効果があります。

【執筆編】Step4:読まれる構成の黄金パターン

取材で良い素材が集まったら、それを「読まれる物語」に仕上げます。 基本の構成テンプレートは以下の通りです。

  1. タイトル:必ず「具体的な成果(数字)」を入れる。
    • × 〇〇株式会社様の導入事例
    • ○ 月間残業時間を50%削減した〇〇株式会社様の導入事例
  2. リード文:課題・導入理由・成果を3行で要約する。
  3. 企業概要:読者が「自分たちに近い会社だ」と認識できる情報を載せる。
  4. Before(暗闇):導入前の深い悩み。
  5. Action(出会い):比較検討と選定理由。
  6. Process(変革):導入時の工夫や苦労。
  7. After(光):定量的な成果と定性的な喜び。
  8. Future(未来):今後の展望。

※より詳細なライティング技術や見出しの作り方については、以下の記事で詳しく解説しています。 [導入事例ライティング完全ガイド|構成・トーン・リード文の作り方]

【活用編】Step5:事例を「営業資産」として使い倒す

導入事例は、Webサイトに掲載して終わりではありません。せっかく作った資産を、営業活動の全フェーズで活用しましょう。

1. 営業資料(提案書)に組み込む

提案書の末尾に「御社と同じ業界の成功事例」として1枚差し込むだけで、受注率は変わります。「他社もやっている」という安心感が、決断の後押しになるからです。

2. ホワイトペーパー(事例集)化する

3社分の事例をまとめて「〇〇業界のDX成功事例集」としてPDF化し、資料請求のフックにします。記事単体よりもリード獲得のハードルが低いため、見込み客リストを集めるのに最適です。

3. インサイドセールスのトークスクリプト

テレアポやメール営業の際、「実は御社と同じ課題をお持ちだったA社様が、コスト削減に成功されたのですが…」と切り出すことで、アポイント獲得率が向上します。

4. 社内教育・モチベーション向上

「顧客はここを評価してくれている」という事実を開発チームやCSチームに共有することで、プロダクト改善のヒントになります。

プロに頼むべき事例 vs 自作できる事例

すべての事例をプロに依頼する必要はありません。予算と目的に応じて、「質重視(プロ)」と「量重視(自作)」を使い分けるのが賢い戦略です。

以下の比較表を参考に、今回の事例をどちらで作るか判断してください。

比較項目自社で制作する場合(内製)プロに外注する場合(STSデジタル)
主な目的「お客様の声」の数(量)を増やしたい。
Webサイトの更新頻度を保ちたい。
**「勝負事例」**を作りたい。
稟議を通すための「営業兵器」が欲しい。
取材の深さ**「確認」**中心
想定通りの回答(建前)になりがち。
関係性が近すぎて深く聞けないことも。
**「発掘」中心
第三者が聞くことで、忖度のない「本音」**や「現場の苦労」を引き出せる。
ビジュアルスマホ撮影やフリー素材。
(リアルさに欠け、信頼性が落ちる)
プロカメラマン撮影。
**「実在感」と「信頼」**を担保できる。
社内工数アポ取り・執筆・確認ですべて自前。
(1本あたり10〜20時間消費)
企画と確認のみ。
コア業務に集中できる。
推奨シーン簡易的なアンケート紹介。
関係値が深い顧客へのライトな取材。
ターゲットど真ん中の企業
経営層・役員へのインタビュー。
失敗できない大型案件。

自作(内製)で十分なケース

  • 予算をかけずに、まずは「事例コーナー」を立ち上げたい初期フェーズ。
  • テキストよりも「ロゴ掲載」の承諾をもらうことが主目的の場合。
  • 簡易的なアンケートベースの「お客様の声」コンテンツ。

プロ(STSデジタル)に投資すべきケース

  • ここぞという「勝負事例」: 自社のターゲット企業と同規模・同業界の事例は、成約率を左右する重要資産です。ここはコストをかけてでも最高品質に仕上げるべきです。
  • 「本音」の数字が欲しい場合: 「ぶっちゃけ、他社と比べてどうですか?」といった質問は、営業担当者には答えにくいものです。プロのインタビュアーが第三者として聞くことで、リアルな比較コメントを引き出せます。
  • 写真で「信頼」を醸成したい場合: 画質の悪い写真やフリー素材は、逆に企業のブランドを毀損するリスクがあります。プロによる撮影写真は、それだけで「しっかりした取引実績がある会社」という証明になります。

まとめ:導入事例制作は「戦略」から始まる

成果が出る導入事例は、なんとなく話を聞くだけでは生まれません。 「売上増」か「コスト減」か、証明したいROIを明確にし、それに合わせた人選と質問設計を行うことが成功の鍵です。

STSデジタルでは、ただ記事を書くだけでなく、貴社の強みを証明するための「訴求軸の設計」から「深掘り取材」までを一貫してサポートします。

「どんな事例を作れば効果的か相談したい」「取材項目を一緒に考えてほしい」という方は、ぜひ一度無料相談をご活用ください。

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